平昌五輪:重くのしかかる閉会後のコスト問題 いまだ解決策見つからず

Ahn Young-joon / AP Photo

◆「お金を飲み込むカバ」
 江原道ではオリンピック終了後を見据え、少なくともスピードスケートアリーナ、ホッケーセンター、ボブスレートラック、スキージャンプの4施設の維持費用を負担してくれるよう、韓国政府に要求している。そうなれば年間60億ウォン(約6億円)の経費節減になると江原道当局のパク・チョルシン氏は話す。

 それに対し韓国政府は、大規模なスポーツイベントを開催した後、財政的に苦労する都市は江原道だけではないため、経費負担は不均衡につながると述べている。2014年にアジア競技大会の開催地となった仁川では今も負債を抱え、使い道のないスタジアムが数多く残り「お金を飲みこむカバ」と揶揄されているという。文化芸術観光省の官僚であるイ・ジェソウン氏は、江原道外の納税者への説得も難しいと述べた。

 国主導の入札が行われた1988年のオリンピックと2002年のワールドカップとは違い、今回は地方政府が入札を主導したため、国が経費負担に関して何ら義務を負っていないのだ。

 このまま計画通りすすめば、大会終了後に江原道は少なくとも6つのオリンピック施設を運営することになる。

 江原道の依頼でコスト分析を行った韓国産業戦略研究所によると、これらの施設維持によって江原道は年間92億ウォン(9億2千万円)の赤字を抱えることになるという。高齢化が急速に進み、2013年には韓国で最も所得水準が低かった江原道にとって、これは大きな負担だ。

 数年にわたり、オリンピックの準備が進められる様子を見続けてきた江陵市在住の活動家、ホン・ジンウォン氏は、「実質赤字はさらに大きくなる可能性がある」と述べた。戦略研究所の計算が、各施設が少なくとも中程度の所得を生み出す、という仮定に基づいているためだ。

 彼は、財政不足を補うために社会福祉関連支出が削減される可能性があると話した。

 経済協力開発機構(OECD)の報告によると、高齢化が急速にすすむ韓国では雇用情勢が悪化し、また貧富格差も拡大しており、先進国の中では高齢者の貧困率が圧倒的に高い。

 韓国政府がオリンピック施設の費用を負担せず、また江原道がそれを文化施設やレジャー施設にできなければ、施設を取り壊すのが最善策、ということになりかねない。

 前出のパク氏は、政府に一歩踏み込んでもらわなければならない、と話す。なぜなら、「オリンピックは江原道のイベントではなく国家のイベントだからだ」。

By KIM TONG-HYUNG, Gangneung, South Korea (AP)
Translated by isshi via Conyac

Text by AP

Recommends