平昌五輪:重くのしかかる閉会後のコスト問題 いまだ解決策見つからず
◆魚は、だめ
準備期間が10年以上あったにもかかわらず、江原道ではオリンピック施設の維持方法が明確になっていない。
夏季スポーツと比べ、冬季のスポーツ施設は氷や雪を維持するためのコストが高く、また利用客も比較的少ないことが多いため、維持がむずかしい場合が多い。特に、韓国ではウィンタースポーツがそれほど盛んではないため、なおさらだ。
どんなアイデアでも良い、というわけではない。
オリンピックでスピードスケートの試合が行われる観客席8000席の江陵アイスアリーナを魚介類の冷凍倉庫に作り替える、という提案もあったが、江原道当局は、この案をはなから真剣に考慮したことはないという。当局は、オリンピックの遺産の一部として、冷凍魚を保有する気はなかったようだ。
また、あるテーマパーク開発企業は同アリーナをスケートの試合結果を予想するギャンブル場にしてはどうか、と提案したが、これも江原道当局に却下された。韓国ではギャンブルが法律で厳しく規制されており、またネガティブな印象も強いためだ。
1万人を収容する江陵ホッケーセンターで、企業リーグのアイスホッケーチームを所有するという計画も頓挫した。
さらに悪いことに、平昌にはボブスレートラックやスキーのジャンプ台、そしてバイアスロンおよびクロスカントリー用のスキー場が建設されたものの、韓国の人々はこれらの種目にほとんど関心がない。
国際オリンピック委員会(IOC)は、8月に最終視察を終えたあと、「オリンピック開催地からホワイトエレファント(使い道のない厄介もの)が生まれる危険がある」と主催者に警告したが、実際に何をすべきか、という具体的な提案は出されなかった。
過去の事例からも教訓を得る必要がある。2004年夏季五輪開催地のアテネでは、大会終了後に大量のスタジアムが放置状態にされ、それがギリシャの財政破たんにつながったとも言われている。また、1998年に冬季大会が開催された日本の長野県では、約1兆1865億円もの費用が投じられたものの、当初の予測に反して観光事業が大成することはなかった。
オリンピック会場を見ると、明らかに維持費が高額すぎるとわかるものもある。2006年冬季大会開催地のトリノでは、113億円をかけてリュージュ競技およびボブスレー用のトラックが建設されたが、運用コストが高額になるため、のちに解体された。ただ、平昌のように大会終了直後にオリンピックスタジアムが取り壊されるのは異例で、1992年冬季大会開催地のアルベールビル以来、2例目となる。