認知症の人との友情はお互いにとってメリットがいっぱい

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◆友人はより広範な支持基盤において重要な役割を果たす
 友人の認知症に対する対応の仕方は多くの理由で重要だ。

 まず何よりも、誰にとっても友情が大切なのと同じ理由で認知症を患う高齢者にとって大切なものだ。友情は喜び、支援、社会的アイデンティティの源だ。

 第二に、認知症患者の生活に友人や他の社会的つながりがいっそう残っている場合、認知症患者の世話をする無報酬の個人介護者(大部分は女性の肉親)が直面する困難や重荷が軽減される可能性がある

 第三に、結婚、出産、高齢化、住居形態、地理的移動性のパターンの変化が原因で、医師の判断を仰ぎ、介護者としての役割を担うことのできる、または担おうとする家族がいない認知症の高齢者の数がますます増加している。そのような認知症患者にとって、友人、隣人、同僚やその他の人々の対応の仕方が生死にかかわる重大問題である場合がある。

◆暗闇に差し込む一筋の光
 認知症は、恐ろしくて気の滅入る話題だが、この調査には希望を抱く理由がある。今のところ、医学では治療が不可能で効果的な治療法がほとんどないが、だからといって、なすすべがないということではない。

 認知症の人々の生活を向上するために我々にできることはたくさんある。そして我々は自分にできることをやるべきだ。それは単に認知症患者が社会の一員であるからというばかりではなく、誰もが将来、認知症を患う可能性があるからだ。

 新年を祝福するパーティーで歌われるオールド・ラング・ザインだが、その歌詞の中に「We’ll take a cup of kindness yet, for Auld Lang Syne(友情あふれる一杯を交わそう。古きよき日のために。)」というあまり歌われない1行がある。友人の認知症発症に直面した人々が「友情あふれる一杯」をいかに満たし、分かち合い、そこから支えを得るかを他の人々から学ぶのを助けることは、人類学研究が世の中を少しでも住みやすい場にする取り組みの1つの方法なのである。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by サンチェスユミエ

The Conversation

Text by The Conversation