パクリでも、おもしろコンテンツ発掘なら良いのか? 日本のバイラルメディアの功罪

 日本のバイラルメディアに関しては、新しい潮流としてポジティブに扱うことより、パクリ問題などを指摘する言論が目立つ。

 本記事では、バイラルメディアの功罪について整理したい。

◆日本のバイラルメディアの問題点
 まず罪について。これは「パクリ」、つまり著作権法違反が最も大きい。

 バイラルメディアの記事は、基本的にシンプルで短い。おもしろ画像の転載、クールな動画の内容紹介、海外の衝撃ニュース記事の翻訳・要約など…。こうした行為は、著作権者の許諾を取らない限り、日本では違法だ。著作権についての詳しい問題は、コチラの記事を参考にしていただきたい。

 構造的な問題もある。メディアビジネスの売上は、アドネットワークやアフィリエイトなどから得られる。基本的に、人(PV)を集めるほど、売上はあがる仕組みだ。しかし、広告単価は低い。もし月間100万PVとなっても、上記だけでは、売上は数十万円程度だろう。正攻法で記事を作り続けるには、厳しい数字だ。

 一方、ネタを他から持ってきてアレンジするのであれば、金銭・時間コストは格段に少なくてすむ(リサーチ、タイトル決め、SNS対策などは必要だが)。極端な話、他の国内バイラルメディアが扱っている記事を「参考」にしてもよいのだ。実際、ネタの重複は常態化している。動画紹介記事の半分が「後出し」と指摘された大手バイラルメディアもあるほどだ。

◆日本のバイラルメディアの功
 では、バイラルメディアが果たした功は何だろうか。

 まず、おもしろいコンテンツに接する機会が増えたことを、プラスととる読者もいるだろう。動画や画像、海外ネタを、能動的に探すのは難しい。ネットの膨大なコンテンツから発掘してくれるメディアとして、価値を生んでいるといえるかもしれない。

 また逆説的だが、「楽して儲けられない」認識が広まったことはプラスだろう。独自記事の配信を始める動きも一部で見られる。バイラルはあくまで手法である。適法なコンテンツで勝負という原則が広まることが望ましい。

Text by NewSphere 編集部