睡眠の質が良くないと、脳が縮小する可能性 高齢になるほど影響大
深い眠りを確保できていないと気分の良い一日を送れないだけでなく、脳の機能の低下につながってしまう可能性がある。北欧で行われた研究により、睡眠の質が長期間優れない場合、脳の一部の体積が減少してしまうことが確認されている。
◆睡眠の質が良くないと脳が縮む傾向
調査は英オックスフォード大学のクラリー・セクストン博士らがノルウェー訪問中に行い、結果が神経学の学術誌ニューロジー(2014年9月3日)に掲載された。この調査ではノルウェーの成人147名を対象に、脳のMRIスキャンを実施した。スキャンは3年半の間隔を置いて2回行い、体積の変化を比較している。また、2回目のスキャン時にアンケート調査を実施し、睡眠の時間や質、そして入眠にかかる時間や夜間に覚醒する頻度などの回答を得た。参加者の年齢は20歳から84歳までで、平均年齢は54歳であった。
分析の結果、睡眠の質が優れない被験者では、前頭葉の一部に縮小が見られた。また、その他3つの脳の領域でも萎縮が確認されたという。これらの領域は、論理的思考、計画、記憶、そして問題解決のタスクを担っている。なお、当該研究では容積を測定しているのみで、実際に能力が低下したのかは検査していない。しかしながら、既存の研究によってすでに、容積の減少と記憶力や思考力などの低下との関連が明らかになっている。よって、睡眠の質が悪い被験者は、こうした能力の低下が起きているものと推定される。