早寝早起きにうつ病予防効果 2時間早めるとリスク4割減 米研究

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 早起きは三文の徳というが、精神面の健康にも良いようだ。アメリカの研究により、朝早い時間帯に起きることでうつ病のリスクを大きく減らせることが判明した。夜型の人が就寝時間を1〜2時間ほど前倒しすると、うつ病の危険が約2〜4割減るという。

◆早寝早起きにメリットが
 研究はコロラド大学ボルダー校と、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が共同で運営するブロード研究所の研究者たちが実施した。84万人の睡眠データを対象とした大規模な解析成果がこのほど、医学誌『JAMAサイキアトリー』に掲載された。

 研究チームは睡眠トラッカーによる過去のデータとアンケートの回答を解析し、遺伝的要因と睡眠との関連を探った。すると、睡眠時間の決定について、遺伝的な要因が12〜42%程度影響していることが判明した。調査では、およそ3人に1人が早起きし、9%が夜更かしを好み、残りはどちらでもないという分布になっている。全体を平均すると、夜中の11時に就寝し、朝の6時に起床するパターンとなる。

 研究チームはさらに、就寝・起床のタイミングとうつ病との関連を分析した。結果、夜型の生活をしている人が早寝早起きに切り替えることで、うつ病を患うリスクを低減できることが明らかになった。具体的には、ふだん深夜1時に就寝している人が眠りに就くタイミングを1時間早めることで、うつ病のリスクが23%低減する。2時間早めた場合は、40%の抑制効果があるという。

◆日光でホルモンバランスが改善か
 今回の研究は、うつ病のリスクを抑制できる理由までは明らかにしていない。ただし、コロラド大学のリリースによると、ホルモンの影響が考えられるようだ。既存の研究には、早起きによってホルモンの連鎖的な影響が発生し、気分を変化させるとするものがある。早起きによって午前の早い時間帯から活動することで、日光を浴びる時間が自然と長くなり、これが影響するのだという。

 また、社会的な要因も無視できない。今回の研究を主導したイヤス・ダグラス医学博士は、社会全体のリズムが朝型の人々を基準として作られており、夜型の人々は一般社会とのずれを体感することが多いと指摘している。起床時間を早めることにより、社会生活により適合している感覚を得ることができるようだ。

◆夜型化が進みがちな昨今
 本研究は、とくに睡眠スケジュールが乱れがちな昨今の社会に対し、有益なものとなるだろう。コロラド大学ボルダー校はニュースリリースのなかで、パンデミック中の自宅作業の影響を受け、社会人も学生も遅い時間帯まで起きる傾向が出ていると指摘している。

 これまでにも早起きで気持ちが向上するということは体感的に知られてきたが、一体どの程度早く起きれば良いのかを示すデータは不足していた。研究に参加した同大学のセリン・ヴェッター助教授は、「臨床学者からよく聞かれた質問として、どのくらい早く寝ればメリットを得ることができるのか、という問題がありました」と述べている。今回の研究により、1時間以上早めることでうつ病のリスクが著しく低減することが立証された。

 一方で、自分なりの睡眠サイクルを確立している人にとっては、慣れ親しんだパターンを変えること自体がストレスになってしまうかもしれない。研究結果を紹介する米FOXニュースの記事に対してある読者は、2回に分けて眠る特殊な睡眠パターンに慣れており、毎日早起きするとかえってうつ状態になりそうだとコメントしている。ほかにも、長年続けてきた自分なりのサイクルを変えたくないという意見がいくつか見られた。

 無理に生活サイクルを変える必要はないかもしれないが、リモートワークなどで生活習慣が乱れがちだという人は、これを機に早寝早起きを試してみるのも良いだろう。思いのほか晴れ晴れとした気分で一日のスタートを切れるかもしれない。

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Text by 青葉やまと