日本人の睡眠時間、世界最短 世界平均より1時間近く短く

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◆睡眠不足で下がる生産性
ニュージーランドと日本・韓国の睡眠時間には大きな開きがある一方で、この3ヶ国の国民一人あたりGDPにはほぼ差がない。このことから、睡眠時間を削った労働が必ずしも生産性に直結していないことが読み取れる。そればかりか世界全体を見ると、睡眠時間の短い国々ほど国民一人あたりGDPが低い傾向にあり、むしろ短時間の睡眠は豊かさを阻害する要因になっているようだ。

エコノミスト誌はこの調査結果に関連して、6時間睡眠が2週間続くと、思考力は2夜連続での徹夜と同じレベルにまで落ち込むというデータを紹介している。2016年の研究によると、日本のGDPはおもに国民の睡眠不足による極度の疲労を原因として3ポイントほど低下しているといい、寝不足による生産性の低下は深刻だ。

幸い、改善は容易かもしれない。スイスに拠点を置く国際NPOの世界経済フォーラムは、睡眠時間を少し増やすだけで生産性が飛躍的に向上するとの試算を示している。日本の場合、現在6時間未満の睡眠を取っている人が6〜7時間眠ることができれば、757億ドル(約7.9兆円)の経済効果を生むという。東京のとあるウエディング企業では6時間以上の睡眠を取った従業員にボーナスを支給する制度も始まっており、睡眠が企業の業績にプラスになるという考えは静かに広まりを見せている。

◆海外にも知られる過労死
そもそも睡眠は生存に必要不可欠な行為であり、経済面以前に健康面において重要な役割を果たしている。エコノミスト誌は、成人であれば一日あたり7〜9時間の睡眠時間が本来は必要であると指摘する。起床から20時間が経過すると、人間の論理的思考能力はワインボトル1本を飲み干したときに近いレベルにまで低下してしまう。また、毎日6時間程度の睡眠しか取ってない人は、若くして死亡するリスクが13%も上昇する。6時間眠れば多くの人々は生活できてしまうだけに、気づかぬうちに積もる体への負担は深刻だ。

こと日本では、激務による睡眠不足を原因とした過労死が大きな問題になっている。睡眠時間でワースト2位となった韓国でも、過労死は社会問題化している。この異質な状態は世界的にも知られており、世界経済フォーラムは先進国としては珍しく睡眠時間が短い国として日本と韓国を名指ししているほか、寝不足が死につながる例として日本の過労死問題を紹介している。

昨今ではワークライフバランスが重視されてきているが、今後は睡眠への意識も企業や社会のレベルで高まってゆくのかもしれない。

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Text by 青葉やまと