買えない、借りられない…深刻化する欧州の住宅危機
◆イギリスの最悪な住宅事情
英イングランドの住宅は欧州および経済協力開発機構(OECD)加盟国より供給、品質、値ごろ感において後れを取っていることが、イギリスの住宅危機に関する最新の報告書で明らかになった。
イングランドと英ウエールズの住宅建設業者の業界団体「住宅建設業者連盟(HBF)」の調査によると、イングランドは、EUの大部分、アメリカ、日本、オーストラリアを含む38ヶ国からなるOECDのなかで、人口1人当たりの空き家率が最も低い。また、イングランドの既存住宅は15%が要求される品質基準に達しておらず、欧州諸国のなかで最悪の状態にある。住宅費の高騰により、イングランドでは1130万人が世帯収入の40%以上を住宅に費やしており、この割合はほかの欧州諸国より高い。2004年から2021年までのイギリスの持ち家率は71%から65%へと6ポイント低下。同期間に、フランスでは10%近く、オランダでは15%増加した。イギリスでは不動産の平均価格が平均給与の7倍以上で、購入するにも賃貸するにも最も割高な場所の一つとなっており、その結果、イングランドの多くの人々は欧州のどこよりも住宅費負担を強いられていることが明らかになった。
HBFは、利用可能な物件不足と建築への障壁が、イギリスの住宅環境をさらに危機的状況に追い込んでおり、2030年までにイングランドが国際水準と肩を並べるためには、毎年記録的な住宅建設が必要だとしている。