オリーブオイル高騰の恐れ 史上最悪の干ばつ、スペイン産オリーブ収穫減

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◆英スーパーでオリーブオイル価格上昇
 世界100ヶ国以上にオリーブオイルを出荷するスペイン最大手のオリーブオイル製造会社「エーススル(Acesur)」輸出部門の責任者ミゲル・コルメネロ氏は、熱波が及ぼす生産への影響は「計り知れない」と語る。その影響は価格にも反映し、出荷先の英国の4大スーパーマーケットの自社ブランドのスペイン産オリーブオイルの平均価格は、6月以降軒並み上昇し、8月初めには昨年に比べて50.2%値上がりした。同氏は「契約が更新される3、4ヶ月後に店頭価格はさらに20~25%上昇する可能性がある」と指摘する。(BBC、8/9)

 また、ウクライナからひまわり油の供給が停止したため、オリーブオイルの需要が増大していることも価格高騰の要因になっているとも述べた(同)。

◆オリーブオイル生産量減少の見通し 世界的に価格高騰か
 「国際オリーブ協会(IOC)」によると、スペインのオリーブオイルの市場価格のベンチマークとなる、南部ハエン産精製オリーブオイルの価格は6月時点で100キロあたり327ユーロ(約4万5000円)と、前年比8.3%上昇した。市場関係者の間では、スペイン産オリーブオイルの生産量は前年比25~30%の減少が予想されている。マーケットリサーチ会社ミンテックのアナリスト、カイル・ホランド氏は「収穫されるオリーブの品質、そのうち上質なオイルに精製される割合や消費に向かない規格外の割合について、市場では懸念が広がっている。収穫量や上質なオイルへの精製量が減少すれば、世界的に供給量の引き締めが予想され、(略)価格は高騰していくだろう」と市場予測を示した。(ガーディアン紙、8/2)

 スペインだけでなくイタリアやポルトガルも記録的な干ばつと高温に見舞われ、オリーブオイルの減産が予想されている。

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Text by 中沢弘子