20年ぶりの超円安を海外はどう見るのか?

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 円の下落が止まらない。2022年の初めには1ドル115円ほどだったが、6月末に一時137円台となるなど、20年ぶりの急激な円安が進行している。円安の主な原因は、日本とほかの地域の金利差の拡大にある。アメリカを中心としてほかの国々がインフレを抑制するため積極的に金利を引き上げているのに対し、日銀は緩和的な政策スタンスを取り続けているからだ。日本における円安の影響に、海外が注目している。

◆以前とは違う 世界は円安容認か?
 これまで通貨安になると日本への批判が出たり、輸出のための通貨安競争が起こったりしたが、今回は当面その心配はなさそうだとブルームバーグは見ている。アメリカは輸出を増やして経済成長を促進するよりインフレ抑制優先であり、ライバルの韓国は「輸出品目の重複が減っているため影響は限定的」と結論づけているという。このまま円安がさらに進めば輸出競争力の低下を避けるために通貨切り下げに踏み切る国もありそうだが、現在ほとんどの中央銀行がインフレと戦うために自国通貨の強化に向かっているため、その可能性は低いとしている。

 ロイターは、円は対中国元で7年ぶりの安値に戻り、対韓国ウォン、対台湾ドルでは数年ぶりの安値を更新しているとし、これは日本の拡大する貿易赤字にとって一定の救済となるだろうと解説している。専門家のなかには、日本経済が多様化されたサプライチェーンにおける確実な供給元としてその競争力を維持するためには、通貨安が不可欠であるという指摘もあるという。

Text by 山川 真智子