ベンチャーキャピタルがESG投資に積極的ではない理由

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 未来の成長に欠かせないスタートアップに投資するVCだが、業界において社会性・ESGの視点はあまり重視されていないという分析もある。その実情とは。

◆成長するESG投資
 環境(Environmental)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字で表現されるESGの観点は、持続可能な世界の実現に向けて企業が無視できないものとなりつつあり、ESG投資の額も成長している。2021年はESG投資にとって記録的な年であり、ESG上場投資信託(ETF)に流入した額は推計1200億ドルで、前年の510億ドルから倍以上に急成長した(ブルームバーグ)。ESG投資はいまや世界の運用資産の約3分の1を占めており、成長のトレンドは継続すると予測されている。

 ファストカンパニーによると、パンデミックに対するレジリエンスがESG投資に人気が集まっている要因の一つだという。パンデミックは環境危機に関しての教訓ともなっており、とくに環境問題への配慮した投資に人々が、これまで以上に注目しているようだ。また、ESGの観点に対しての意識が高い、いわゆるインパクト投資家の増加に加えて、一般の投資家の参加も増えている。彼らは必ずしもESGの観点に左右されるような人々ではないが、ESGアセットのパフォーマンスが平均以上であり、ボラティリティも低いという点は、一般の投資家にとっても魅力のようだ。

Text by MAKI NAKATA