フランスの「城」、ドバイ人工島のヴィラなど 高級住宅市場が活況

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◆本宅と別荘の逆転現象
 フィガロ紙(5/5)によれば、本宅と別荘の場所を逆転させる傾向は、とくに管理職に多い。これまで普段は首都のアパートに住み、海辺に別荘を持っていたような層が、本拠地を地方都市や海岸沿いに移しているのだ。具体的な行き先は、パリ北部のピカルディ、海沿いのノルマンディやブルターニュ、またその南の大西洋岸沿いで、そちらに広い邸宅を購入し、パリには仮の宿になる小さなアパートだけを持つパターンが増えている。そのため、首都の小さな物件に人気が集まり、地方都市や海辺の不動産の価格が上昇しているという。

◆ドバイからテレワークする経営者ら
 ドバイでもロックダウン後に高級不動産取引が急増した。たとえば、4月には、1000万ディルハム(約2億9800万円)を超える取引数を90件記録した。通常、年間で同様の取引は350~400件であることを思うと、約3倍の増加だ。(20 minutes紙、5/30)

 ドバイのアラビア湾には、ヤシの木をかたどった人工島パーム・ジュメイラが浮かんでいる。この島にはリゾート施設のほか、高級レジデンスも建設されているが、その売買は2014年ごろから停滞していた。このパーム・ジュメイラでもこの4月、81の物件が売れた。2020年は一年で54件しか売れなかったことと比べると、その多さが実感できる。そのうちの一軒は、約2500万ユーロ(約33億円)で売却されたという。ブラックブリック不動産会社代表のマシュー・ベイト氏によれば、多くは本宅をドバイに置き、そこからヨーロッパや北アメリカ、アジアの企業をテレワークで経営管理するパターンだという。(同)

 規模はまちまちだが、パンデミックが、衣食住のうち、とくに「住」の重要性に人々の目を向けさせたことは間違いないといえよう。

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Text by 冠ゆき