欧州のタックスヘイヴン、ルクセンブルクの秘密に迫る「OpenLux」

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◆非難とルクセンブルクの言い分
 この「告発」に、一部の欧州議員やNGOは激しく反応した。たとえば、フランスの欧州議員マノン・オーブレーは「ルクセンブルク・リークスから6年たつのに、何も変わっていない。それなのに、EUはルクセンブルクをタックスヘイブンのリストに載せることを拒否している」と非難している(20 minutes、2/8)

 だが、ルクセンブルク政府は、「ルクセンブルクは、課税および透明性の観点から、ヨーロッパおよび国際的な規則をすべて尊重している」し、脱税を防ぐため情報交換の措置を取っていると発言。経済協力開発機構(OECD)や欧州連合などのオブザーバーからも問題の指摘は受けていないことを強調した(RTL 5 minutes、2/9)

◆ルクセンブルク・リークスとの違い
 OECDのパスカル・サンタマン租税局長の「法的な構造を使った(これらの節税)は、合法である」(フランス・キュルチュール、2/10)という発言も、ルクセンブルク政府の主張を裏付けるものだ。同氏はまた、この10年で国際課税ルールが大きく変わったことにも触れている。そして、「(2014年)ルクセンブルク・リークスが明らかにしたことは、文字通り公開されていなかった情報のリークだった」が、「銀行の秘密が無くなった」今回、OpenLuxが明らかにした情報はリークではないと指摘する(同)。

 またルクセンブルク政府は、実質的所有者(個人と法人)の公式登録簿を設立し、誰でも制限なくオンラインでアクセスできるオープンで透明性のあるシステムを導入した国はヨーロッパではルクセンブルクだけだ、と述べる(RTL 5 minutes)。実際、この公開登録簿があったからこそOpenLuxの調査ができたのだと、ル・モンド紙も記している。

Text by 冠ゆき