スキー場の営業めぐり割れる欧州 国同士、国内で軋轢
クリスマス年末年始休暇が第3波のきっかけとなることを恐れるヨーロッパ。欧州委員会は2日、それを避けるための戦略を提出した。しかし、スキー場をめぐる対策など、すでに明らかな見解の相違がみられ、協調に至る道は平坦ではない。
冬期の感染再拡大を避けるべく欧州委員会が提案する4柱は、「フィジカル・ディスタンス」「EU全体でのスクリーニングと接触者追跡」「移動の安全性」「各国のワクチン戦略の支持」だ(ユーロニュース、12/2)。とはいえ、実際にどのような対策を取るのかは各国の判断に任されることになる。そのため国によって重視するポイントには違いが出ることになる。現在、見解の差が目立つのは、スキー場に対する扱いである。
◆「スキー場は感染源にならない」オーストリアとスイス
フランスとドイツ、イタリアは、欧州のすべてのスキー場閉鎖を求めたが、ウィンタースポーツで得る経済効果を失くしたくないオーストリアはこれを拒否し、12月24日のスキー場営業開始を決めた。ただ、ホテルなどは1月頭まで休業を続ける模様だ。同国は、「Covid-19の感染リスクを減らすための対策として、スキーはできるが、バーやレストラン、ディスコはNG。また、閉じた空間のないリフトを用い、警察による検閲を強化する」と発表しており(フランス3、12/2)、対策を取ればスキー場営業に問題はないとする立場だ。とはいえ、同国は3月、イシュグルスキー場で多くの感染者を発生させており、「リスクゾーン」とみなされている。そのため、もし隣接するバイエルン州からドイツ人がクリスマス休暇にオーストリアへ行くなら、ドイツ帰国後10日間の隔離を義務付けられることになる(同)。
また、EU加盟国ではないスイスも、スキー場閉鎖は考えていない。スイスのリフト・ゴンドラ協会(RMS)会長ウィツキ氏は11月29日、「すべてのスキー場を閉鎖するのは、合理的ではない。(中略)スイスには、すでに2ヶ月前から営業しているスキー場があるが、感染源にはなっていない」と発言している(同)。