カナダ産ロブスター打撃 中国が「サーモン疑惑」でコロナ検査開始 「陰性証明」要求も

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◆まさかのとばっちり ロブスターが検査対象に
 ところがカナダのCBCニュースによれば、サーモン騒動を機に、中国当局はロブスターを含む輸入食品に対し、コロナウイルス感染の有無を調べるランダム検査を始めた。検査結果が出るまでに最大36時間を要することもあり、ロブスターを中国に輸出しているノバスコシア州の企業では、鮮度が落ちて売り物にならなくなることを恐れ、出荷を取りやめたという。

 世界保健機関(WHO)は新型コロナの感染において食品の関与はこれまでないとしており、国連食糧農業機関は水生動物が感染することはないという見解だ。米食品医薬品局(FDA)のフランク・イアンナス氏は、FDAは中国が食品の検査を始めるという報告は認識しているが、現在食品からコロナ感染が起きるという証拠はないと述べ、中国の対応を疑問視している(ウェブ誌『Vice』)。

◆問題が起きれば責任も? 陰性証明に戸惑い
 さらに輸出業者を困らせているのが、中国の輸入業者がロブスターの「陰性証明」を求めていることだ。中国側は、カナダ産の活ロブスターと加工品が新型コロナに感染していないとする申告書への署名をカナダ側に要求している。カナダ側の業者のスチュワート・ラモント氏は、あまりにぶしつけな要求だとし、カナダ側は応じるべきではないと断じる。仮に問題が起きれば、中国の司法制度ではカナダ企業の責任になってしまうとし、申告書への署名を拒否している。代わりに、事態を懸念し可能な限りの安全が提供できるよう対策を講じている、とする声明書を顧客に出したということだ(CBC)。

 輸入業者の「陰性証明」の求めに対し、カナダの行政側も困惑している。カナダ食品検査庁の報道官は、「現在のところ、食べ物や包装材が感染源や感染経路になるという科学的証拠はない」と述べ、それらが感染源だと確定したケースもいままでのところないと発言している。ノバスコシア州の報道官も同様の見解で、食品検査庁は一刻も早く科学に基づいた解決法を探すため、中国側と対話を行うべきだとしている(同上)。

 ラモント氏は、カナダで逮捕されたファーウェイ幹部の身柄引き渡しをめぐってカナダと中国がもめており、その報復として中国がカナダ人2人をスパイ容疑で正式に起訴した件が脳裏にある。経済的恩恵のために署名をして危険に巻き込まれる可能性もあるという考えだ。中国はカナダのシーフードを求め、カナダは中国のマーケットを必要としており、なんとか署名することなしに妥協の道を探り、ビジネスを続けたいとCBCに話している。

Text by 山川 真智子

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