「最もアメリカ製の車」日本メーカーが大半を製造 米経済への貢献明らかに

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◆上位常連の日本企業、逆風でも安定
 ランキングは2013年から毎年発表されており、上位にホンダとトヨタが食い込むのは恒例となっている。2016年には1位から5位までを両社が支配。2017年と2018年にはそれぞれ、上位10車種中の4車種を両社のブランドが占めた。

 自動車貿易をめぐっては日米間で熾烈な駆け引きが展開されているが、今年のランキングを見る限り、自動車の製造事情に目立った変化は起きていないようだ。番付を発表した『Cars.com』は、「われわれは長きにわたり、貿易をめぐる状況がアメリカ製指標(のランキング)に影響を与えるかと思ってきたが、2019年のランキングがわずかにしか変化していないことに驚かされた」と述べている。

 ブルームバーグ(6月25日)も「ドナルド・トランプが海外製自動車および部品への関税を強く求めるなか、今日アメリカで販売されているほとんどのアメリカ製自動車は、たいてい日本の(企業による)ものであると判明した」と報じている。

◆日本メーカーの見えない貢献
 現トランプ政権はアメリカ国内の自動車産業を擁護すべく、日本とEUに対し輸出制限などを求めている。これに対しトヨタは、同社のアメリカ国内での投資や雇用創出が評価されていないと反発していた(CNBC)。今回のランキングで、日本メーカーによるアメリカ経済への貢献が一層明らかになった形だ。

『Cars.com』は、日本企業が米国の雇用を改善していると強調する。日本車メーカーによるアメリカ国内での自動車生産台数は、1995年の230万台から2014年の380万台まで、19年間で約1.65倍に増加した。生産数の増加は雇用の増加に直結する、と同誌は指摘している。さらに近年では2016年の調査により、トヨタ・カムリが組立工場にもたらす雇用数が、ランキング入りしたほかの車種を大差で上回ることが明らかになっている。

 ちなみに一般的なアメリカ市民は、ここまでの情報を知らないようだ。ブルームバーグによると約71%の人々が、もっともアメリカ国内製造比率の高い車として、フォード・F-150を挙げた。同車種は実際には13位に留まっている。アメリカ経済に目に見えない形で貢献する、日本メーカーの実態を明かすランキングとなった。

Text by 青葉やまと