中国の高速鉄道、効率無視で負債86兆円 それでも建設は続く

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◆景気刺激策再び 今後も遠隔地まで拡張
 SCMPによれば、中国鉄路総公司は、2019年に6800キロの新路線を稼働させる計画だという。アメリカとの貿易戦争の影響で減速すると見られる景気を下支えするためだ。この計画以外にも、深い谷を通る四川省とチベットを結ぶ路線まで検討されているという。

 採算が取れそうにない路線建設を憂う声に対し、8億5000万人も利用者があることから、長期的には黒字路線が赤字路線を補うという見方もあるという。しかしFTは、もし高速鉄道が最終的に自力で債務を完済できたとすれば、共産党による奇跡の証となるだろうが、そうならなかった場合は、だれがその尻拭いをすることになるのかは明らかだと述べる。

 趙堅氏の同僚であるLi Hongchang氏は、中国鉄路総公司の負債は政府が保証しているため、デフォルト(債務不履行)はないとFTに説明する。しかし結局最後は税を払う中国国民の負担となるはずで、世界一の高速鉄道網は先の見えないトンネルに差し掛かっているようだ。

Text by 山川 真智子