首都をゼロから作る、エジプトの一大プロジェクト 同国初のスマート・シティに

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 首都カイロの人口過密に伴い、エジプト政府は新首都の開発を進めている。現在の首都圏の45キロ東に位置する地点にゼロから建造する予定だ。まだ名もないこの都市は、アフリカ最大のタワーやホテル、テーマパークなどを抱えるほか、都市基盤のIT化を行う同国初のスマート・シティとなる。しかし理想とは裏腹に、過去のメガ・プロジェクトの失敗を辿るのではないかという見方もある。

◆シンガポールの国土に匹敵
 開発規模は700平方キロに及び、ほぼシンガポール全土に匹敵する。中心部にはセントラル・パークの2倍の面積となる公共スペース「グリーン・リバー」が設けられ、水辺と植栽が提供される予定だ。新首都の模型からは、数多くの高層ビルや街路樹で覆われた大通り、そしてスタジアムなどが確認できる。

 現在進行中の第1フェーズは、政府施設の移転と住宅地の供給にフォーカスするほか、公共インフラ、緑化、交通インフラの整備を行う。学術ニュースサイト『カンバセーション』によると、早ければ2019年夏までに国会を移転する。現在のカイロ首都圏は2400万の人口を擁し(東京都の人口は約1400万)、劣悪な渋滞と混雑が問題化しており、その解消が期待される。

 計画の仔細は、現地のエジプト・トゥデイ紙に詳しい。官庁、国会、居住区、新首都空港、大学、道路網などを整備する予定で、さらに教育機関、計4万室のホテル、テーマパークなども建設される。第1フェーズだけでも17の建設事業者が携わるという大規模な計画となっており、一部施設はすでに完成している。

Text by 青葉やまと