7億人が大移動、国慶節祝う中国のGW 日本旅行は安定の人気

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◆人気の海外は? 旅先に政治問題も影響
 海外旅行も人気だった。このところ政治的問題も影響して人気のなくなっていた香港だが、本土との高速鉄道が開通したことで、連休中の3日間だけで香港の人口の10%に当たる75万人が本土から訪れた(クオーツ)。ただし、中国人観光客は年々洗練され旅行上手になってきているため、香港やマカオなどでは近年満足しなくなっているとSCMPは指摘している。CNBCは、中国人観光客の買い物三昧のイメージはすでに過去のもので、欧米の美術館のチケット予約などが増えているとしている。

 安定の人気を誇るのは日本で、SCMPは常に中国人観光客の大好きな行き先だと紹介する。10月は紅葉が見ごろで、桜の咲く春に次いで最も中国人に人気のシーズンだ。美しい景観、静かで落ち着いた神社、青く澄んだ海、贅沢なショッピングモールに加え、新鮮な食材を提供する数々の飲食店が魅力だとしている。

 その他にも、タイ、韓国などが人気の旅行先だったが、中国との貿易戦争が進行中のアメリカ、政治的緊張が高まる台湾などの人気は低下した、とクオーツは伝えている。

◆旅行は豊かさの象徴? まだまだ伸びる中国の観光業
 旅行が楽しめるのはまだまだ大都市の中国人だけというイメージだったが、CNBCによれば、北京や上海などの一線都市と呼ばれる都会や、二線の天津などより下に位置付けられる、三線、四線の小さな都市からの旅行者数が、今年の国慶節の連休では飛躍的に伸びたという。また、二線、三線都市の旅行者が海外で使った金額も大幅に増えたということだ。

 UBS証券のツーリズム・アナリスト、シン・チェン氏は、今後5年間で三線、四線都市の消費の成長ペースは、一線、二線都市のそれを追い越すとCNBCに語っている。国が豊かになり、地方からもどんどん旅行に出かけられるようになっており、大型連休中の民族大移動の混乱も、今後増々激しくなりそうだ。

Text by 山川 真智子