日米物品貿易協定、スタートから温度差 中間選挙控えたトランプ氏は強気に?

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 日米両政府は26日、物品貿易協定(TAG)の締結に向けた交渉を始めることで合意した。トランプ政権の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)脱退で棚上げとなっていた日本製自動車への追加関税、米国産農産物の関税引き下げなどについて、日米間の交渉が再開する形となる。

◆早くもすれ違いも
 TAGはモノの輸出入に限定した物品貿易協定で、投資・サービス分野が含まれる自由貿易協定(FTA)よりも適用範囲が狭い。これについて、日本側は交渉開始後の記者団とのやり取りのなかで、あくまで今回開始するのはTAG交渉だという立場を示した。一方の米側は「FTAの締結を目指す」としており、既に温度差が見られる。

 とはいえ、当面の両国の狙いははっきりしている。日本はいかに国内の農業を保護しつつ米国が求める米国産農産物の市場アクセスの拡大を認めるか。アメリカ側はいかに自動車の輸出入で有利な条件を引き出し、低迷する国内自動車産業の復興に結びつけるかというものだ。

 共同声明では、日本側は農林水産品について「TPPなど過去の経済連携協定の交渉での譲歩が最大限であること」、米国は自動車関連の交渉について「米国自動車産業の製造及び雇用の増加に結びつけることを目指す」考えであることを相互に確認。これを前提に、既に、米国は交渉の継続中は自動車への追加関税を日本に対しては発動しないことと、日本はTPP交渉で話し合われた水準を上回る農産物の関税引き下げには応じないという取り決めが交わされた。

Text by 内村 浩介