スキャンダル渦中の独ロックバンド「ラムシュタイン」、欧州ツアーで見えた光景とは
「モンスターバンド」と呼ばれるドイツのロック・バンドがヨーロッパツアーを開始すると、彼らの背後にあった不穏なスキャンダル報道が吹き出した。その背景には今の欧州の危うさが透けて見える。
◆ラムシュタインとは?
世界的キャリアを誇るロックバンド「ラムシュタイン」をインターネットで検索すると、航空ショー墜落事故もヒットする。1988年に南西ドイツのラムシュタイン空軍基地で開催された航空ショーでは、曲芸飛行のクライマックス時に空中衝突が起こり、パイロット以外に死者67名、負傷者500名という当時最悪の航空ショー惨事となった。まさしくその事故から名を取ったのがこのバンドなのである(厳密には、バンド名はmが1つ多い)。
現在メディアを賑わしているロックバンド「ラムシュタイン」は、旧東ドイツ出身の6人が1994年に結成。1997年にデヴィッド・リンチが映画『ロスト・ハイウェイ』のサウンド・トラックに『Heirate mich』と『ラムシュタイン』の2曲を使用したことから世界的に認知されるようになった。2000年にはフジロックフェスティバルに出場するため初来日。2001年と2005年には日本ツアーも組まれたが、その後は来日が実現できておらず、日本では幻のバンドと呼ばれている。
なかでも特に挑発的な歌詞や振り付けに加え、スペクタル性の強い火炎放射器や花火の演出がラムシュタインのトレードマークとなっており、2019年には日本のオリコンでも39位にランキングされるなど、コアなファンの間では引き続き再来日が待ち望まれている。
そんなラムシュタインのヨーロッパツアー開始にあたり、ドイツで最初の公演地ミュンヘンのオリンピックスタジアムで、6月7日の初日公演を取材することにした。