スキャンダル渦中の独ロックバンド「ラムシュタイン」、欧州ツアーで見えた光景とは

ドイツのバンド「ラムシュタイン」、一番前が渦中の人ティム・リンデマン|©Bryan Adams

◆設えたように吹き出したスキャンダル
 アメリカでは歌のテーマとジェスチャーによりわいせつ罪で逮捕されたり、ドイツで実際に起こった人食い殺人事件をモチーフにした歌を作り犯人から訴えられるなど、物議を醸す機会も多かった当バンドだが、現在は最大のピンチとも言えるスキャンダルに翻弄されている。

 昨年10月頃からラムシュタインのメンバーによる性加害の証言が複数持ち上がっていたというが、ここに来てラムシュタインの名はドイツの公共放送局のNDRテレビのニュースでも取り上げられるほど過熱しているのだ。6月2日付のNDR局と南ドイツ新聞の記事によると、「2020年2月の公演前に、ボーカルのティル・リンデマン(60)が当時22歳のシンシアを手招きして誘い、性行為に至ったり、(中略)終演後のパーティに呼ばれた当時21歳のカヤ(仮名)が気づくとリンデマンとホテルでベットをともにしていたなどの証言が集まっている」という。「イリン・シェルビー・リンという女性は、麻薬が使われていたと訴えた」と報道されている

 それらの報道は隣国スイスのメディアにまで広がり、一般紙のノイエ・ツールヒェル・ツァイトゥング(NZZ)紙にも6月2日付で取り上げられたほどだが、疑惑に対して確かなことはまだわかっていない。

 しかしブリック紙(オンライン版、6月5日付)の記事などによると、「若い女性たちをスカウトして終演後などのパーティに招く『Row Zeroシステム』があり、そこでは非合意の性的行為も行われていた」という。

 一時はコンサートツアーの中止もささやかれたが、そのアフターショーのパーティRow Zeroを禁止することで、公演は決行された。沈黙を守っていたメンバー側もSNSで「誰もが問題を語る権利があるが、片方だけの言い分で偏見を持たないで」とコメントし、ベルリンの著名な弁護団を立て、法的な調査を依頼した。

Text by 中 東生