『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などタペストリーに 仏工房が「宮崎駿の世界」を再現

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 パリのケ・ブランリー美術館で、6月20日からジブリ作品の一場面を表したタペストリーの展示が始まった。手がけたのは、フランス伝統のタペストリー産地であるオービュッソンの工房だ。

◆絵画のように壁にかけるタペストリー
 オービュッソンは、フランス地図の真ん中より少しだけ南に位置する人口3300人ほどの小さな町だが、15世紀からタペストリーという織物の産地として知られている。タペストリーは、多彩な模様を織り込んだ布で、壁掛けとして使われるものだ。オービュッソンは、タペストリー製造の技術が伝え残るフランスの町の一つで、2009年にはユネスコの無形文化遺産の指定を受けている。

◆17世紀の伝統を現代アニメとのコラボで再現
 スタジオジブリとオービュッソンのタペストリーの提携が決まったのは2019年7月のことだ。「オービュッソンのタペストリーにおける宮崎駿の想像の世界」と題されたこのプロジェクトの内容は、その後2020年10月に具体的に発表された。スタジオジブリの4つの映画『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『風の谷のナウシカ』のなかから5つの場面を選んでそれらをタペストリーに仕上げるというものだ。

 タペストリーは、17~18世紀においては、文学作品を参照にその世界を描くように作成されることが多かった。しかし19世紀ごろからその伝統は廃れていた。このプロジェクトは、まさにその伝統を現代アニメとのコラボで再現しようとしたものだという。

Text by 冠ゆき