『はじめてのおつかい』に衝撃を受けるアメリカ 「かわいい」を超えて子育て論も
◆過保護が問題に
こうした意見は日本の子育て論を批判するものではない。むしろ、アメリカ流はかなりの過保護なのではないか、との論が目立つ。NYT紙は、育児書の著者であり日米両国での生活経験をもつクリスティン・グロスロー氏の意見として、日本では「6歳でひとりで留守番ができ、包丁を使って料理し、学校まで歩いて通学する」ことができるような教育に重点が置かれていると説明している。世界でもこうした例は少なくない。一方アメリカでは、子供をひとりで留守番させてよいと親たちが考える平均年齢は13歳と、大きな隔たりがある。
ひとつの理由として、親のみならず地域ぐるみで子供を見守る下地が日本にはあるのかもしれない。スレート誌によると、14ヶ国を対象にした調査において、「地域の大人がよその子供に目を配っている」が当てはまると答えた親の割合は、日本が最も多かった。
◆考え方を変えるきっかけに
番組に対しては、一部批判的な意見もあるようだ。アメリカの児童心理学者は、米NBCの朝の情報番組『トゥデイ』(4月14日)のなかで、『はじめてのおつかい』は「極限状況」だと切り捨てた。もっと少しずつ挑戦の範囲を広げなければ、子供の発達に効果が薄いという。
一方、NYT紙に寄稿したグローズ氏は、「『はじめてのおつかい』の視聴を通じ、より多くのアメリカの親たちが、我々の文化的基準はリセットあるいは少なくとも再考する必要があるのでは、との可能性に気づいてくれるよう願っている」と述べている。出演した子供たちの笑顔をみて、氏自身の子供にも達成感を与えてやりたいと思うようになったという。
純粋に番組を楽しむ人々も多いなか、思わぬ深い考察が生まれているようだ。
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