ヒップホップが初の主役、スーパーボウル・ハーフタイムショーのハイライト
◆ヒップホップ主役はハーフタイムショー史上初
今年のハーフタイム・ショーは、ドクター・ドレ(Dr. Dre)、スヌープ・ドッグ(Snoop Dog)、エミネム(Eminem)、メアリー・J・ブライジ(Mary J. Blige)、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が出演。さらには、ゲストで50セント(50 Cent)も登場した。メインの5名のアーティストのそれぞれの活躍を総合すると、43のグラミー賞、22のナンバー1アルバムの記録となる。ドクター・ドレ、スヌープ・ドッグ、ケンドリック・ラマーは、それぞれカリフォルニア州出身のアーティストで、彼らのパフォーマンスは地元凱旋という意義もある。約15分のショーのプロデュースはジェイ・Z(Jay Z)が設立したエンターテインメント・エージェンシー、ロック・ネイション(Roc Nation)が務めた。同社のプロデュースは2020年、2021年に続き3度目だ。
ヒップホップのアーティスト(ラッパー)は過去、主役アーティストのゲスト的に、ハーフタイム・ショーに登場したことはあったが、主役となるのはいままでになかったことだ。ヒップホップは黒人を中心とした米国におけるマイノリティの文化的ムーブメントが起源となっており、穏やかでない、物議を醸すような歌詞や表現も含まれる。今回のパフォーマンスでも、ドクター・ドレの曲の一つには、警察を嫌悪するような内容の歌詞も含まれた。また、パフォーマンスではエミネムが曲の終了後に、約50秒間ひざまずくというジェスチャーを見せた。これは、NFL選手のコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、黒人や有色人種に対する差別的な事件の発生を受けて、国家斉唱を拒否してひざまずくという抗議行動をとったことに対して敬意を表すものだ。
今年のハーフタイムショーは、昨年比19%増の2900万の視聴を獲得したとされる。NFLによる、ヒップホップの歌詞やエミネムの行動の容認は、視聴率獲得などといった金銭的なインセンティブも感じられるが、社会の変化に応じてNFLがよりインクルーシブで多様なものへと変化しているという動きの表れかもしれない。
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