「日本の新年スイーツ」餅も浸透する? ガレット・デ・ロワでお祝いのフランス

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 毎年フランス大統領府エリゼ宮に150人用の巨大ガレット・デ・ロワが届けられることからも、そのポピュラーさが察せられるであろう。コロナ禍ではあったが昨年も直径1.2mのガレット・デ・ロワが届けられ、閣僚や職員が集まる新年の祝いこそ開かれなかったが、切り分けたガレットはちゃんと配られたという。(フランス・ブルーラジオ局)ちなみに、エリゼ宮のガレット・デ・ロワにはフェーヴが入っていない。その理由は、フランスは共和政で王がいないからだ。

◆じわじわと欧州に広がる日本のモチ
 フランスでは、このガレット・デ・ロワに匹敵する日本の新年スイーツが「モチ」だと紹介されている(マダム・フィガロ誌、2021/1/8)。ここでいうデザート餅とは大福餅のことだ。

 和食がある程度人気を博してからも、和菓子は長らくフランス人の興味を引かずに来た。筆者の経験からいっても、30年ほど前は小豆餡をおいしいと言うフランス人は半数程度だったし、餅に至っては、触感が苦手で好きじゃないという人がほとんどだった。だが、日本旅行経験者が増え、人々の味覚も変化したのか、すでにイギリスやドイツでは餅アイスが広がりを見せているし、フランスでも小豆餡入りどら焼きのファンは着実に増えたように感じる。

◆脂質フリー、グルテンフリーで100%植物性
 それを裏付けるかのように2016年にパリにオープンしたのが大福餅専門店ラ・メゾン・デュ・モチだ。同店を立ち上げたマチルダ・モット氏は、小豆餡・白餡入り大福餅について、「100%植物性材料によるもので、油脂も使っていない。(中略)豆類と米でできていて低カロリー」だと説明する。ゆえに「菜食主義者やグルテンアレルギーの人、カロリー制限のある人」でも問題なく食べられる。(マダム・フィガロ誌)健康志向時代においてこれは大きな魅力と言えよう。

 同店ではフランス人向けに敷居を低くするため、チョコレートやノワゼット、アーモンド味の大福餅も提供しているという(同)。

「モチ」が寿司やラーメン、日本酒に次いでフランスでのブレイク日本食品となるかどうかも気になるが、フランス発ノワゼット大福がいつ日本に逆輸入されるのかも気になるところだ。

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Text by 冠ゆき