「共産党員になりたい」ジャッキー・チェンが香港・中国で嫌悪される理由
香港映画と言えば、ジャッキー・チェンを連想する人も多いだろう。ハリウッド進出を果たし、中国人男性俳優として初めて、ロサンゼルスのチャイニーズ・シアターに手形を残したのもジャッキー・チェンだ。幅広い年齢から愛される、コミカルなアクション・スターのイメージが強いジャッキー・チェンだが、このほど「共産党員になりたい」と発言し、故郷香港だけでなく中国の人々すらも嫌悪感を隠せない。
◆善良なイメージの香港映画スター
日本でのジャッキー・チェンの人気は、1979年に公開された『ドランクモンキー 酔拳』のヒット。その後、1998年に公開された『ラッシュアワー』はシリーズ化され、ハリウッドでの成功を不動のものにした。50年以上もの華々しいキャリアがあり、武術にコメディの要素を加えた独自のスタイルを確立。スタントマン、俳優、監督に加えて、後継者たちに武術指導を手がける、多才な映画スター。またユニセフ親善大使を務めるなど、慈善活動や人道的活動、啓蒙活動にも精力的で、善良な芸能人の印象が強い。
一方、生まれ故郷・香港でのジャッキー・チェンの人気は、それほどでもない。というより、驚くほどアンチが多いのが現状だ。原因は彼の私生活スキャンダルと、露骨な政治絡みの言動にある。
◆香港抗議デモを非難
ジャッキー・チェンは、1989年の中国民主化運動(のちに天安門事件につながる)をサポートした過去を封印し、1997年の香港返還以降一貫して「中国政府寄り」の発言を続けている。2009年に中国・海南島で開催された経済フォーラムの席で、中国政府によるメディア規制や映画の検閲について意見を述べた際、「中国人は管理される必要がある」と発言(インデペンデント紙)し、政府による統制や規制を援護。「社会が自由になりすぎると、人々は好き勝手なことをして大混乱する。それがいまの香港や台湾だ」と名指しで両地区を「カオス」呼ばわりしたことで、出身地である香港での不人気を自らエスカレートさせた。