サッカー欧州選手権での感染拡大をWHO懸念 開催地の感染増と観客増

ブダペストのプスカシュ・アレーナ、ハンガリー対ポルトガル戦前の様子(6月15日)|Laszlo Balogh / AP Photo

◆杞憂ではない感染リスク
 サッカー観戦による感染リスクは杞憂ではない。これまでに3試合が行われたデンマークでは、ユーロ2020の試合に関連した新型コロナの感染が少なくともすでに29例明らかになっている。デンマークの保健当局のアネット・リッケ・ペトリ氏によれば、この数字は「試合中に具合が悪くなった場合と、試合中に感染した場合のみ」を数えているため、実際には「より多くの感染者を出した可能性」があるという。(ユーロニュース)

 ちなみに、コペンハーゲンのスタジアムは、収容人数の約45%の観客を受け入れ、入場に際しては、陰性テスト、ワクチン証明書もしくは感染証明書の提示を要求していたはずだ。(ISPO)

◆無観客でも感染増大
 とはいえ、観客数だけが問題となるわけではない。たとえ無観客で行ったとしても、スタッフや選手の感染リスクは残るからだ。現在ブラジルで開催中のコパ・アメリカが良い例である。南米サッカー連盟が主催するコパ・アメリカは今年、無観客で開かれている。だが、それでも関係者間に新型コロナが広がっており、すでに感染者は少なくとも140人を数えている。内訳は、選手やチームメンバーが42人、イベント関連の業者が97人、南米サッカー連盟のスタッフが1人だ。一ヶ所のクラスターではなく、ブラジル国内にある4ヶ所の会場すべてにおいて感染が確認されている。(CNN、6/22)

 パンデミックにおけるスポーツ大会開催のリスクがみてとれる。日本が舞台となる日まで1ヶ月を切った。

【関連記事】
国民はスプートニクVに不信感、接種進まず ロシアで感染再拡大
ネパール変異株? 英がポルトガルの安全度を格下げ 妥当性に批判も
インド変異株の感染急増 イギリスが再び変異株リスク地域に

Text by 冠ゆき