映画のラブシーンにも変化 仏でキスは役者次第 新型コロナ影響
◆ロックダウン解除:映画館の憂鬱
ロックダウンが解除されても、すべて元通りとは言えない。デロイト・インディア社の関係者は「ロックダウンが終わっても、多くの人は混雑した場所を避ける心理状態にあるだろう」と予測する(アル・ジャジーラ 5/1)。実際、インドのオマックス・メディア社が58の都市で実施した調査によれば、「28%(の人々)は、映画館が営業再開したらすぐに鑑賞に行きたいと考えている。しかし、47%は2~3週間、19%は2~3ヶ月待ってから決めたい」と答えている(ヴァラエティ誌 5/25)。
たとえ営業再開し客足が戻ったとしても、劇場オーナーが憂慮するように「顧客の名前や住所を記録し、体温を測り、衛生チェックを怠らず、マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを取る必要が出て」くれば、費用の点でも人手の点でも、前と同じといかないことは目に見えている(アル・ジャジーラ)。
映像ストリーミングサービスの味を覚えた人も多く、映画館にとっては脅威である。実際、ネットフリックス社は、2020年1月~3月で契約数が1580万件増えた。去年の同時期の増加数960万件と比べ65%近い増加率で、4月末時点での世界の契約者数は1億8300万人に上る(フランス・アンフォ 4/22)。
◆撮影ガイドライン発表
パンデミックはまた、映画やテレビドラマの撮影も中断させた。年間平均1200本の映画を製作するインド、大手会社の林立するアメリカ、最古の映画会社を有するヨーロッパ、いずれも例外ではない。
5月も半ばを過ぎ、ようやく映画撮影も解禁に向かっていることから、最近インドでもフランスでも撮影のガイドラインが発表された。どちらも基本的に手洗いや検温、マスク着用などの衛生管理と、ソーシャルディスタンスの大切さを説いている。インドでは、撮影再開から3ヶ月間は、現場に医師と看護師、救急車を待機させることも必要とされる(ヴァラエティ誌)。
フランスのガイドラインには、技術スタッフをできるだけ減らし、勤務時間をずらすなどの措置、道具類の消毒なども明記されている。ビュッフェ式の食事や電子レンジの設置はご法度。衣装や化粧のスタッフもできるだけ減らし、可能な場合は、役者が自分で行う。公共交通機関利用は避け、撮影に入る直前14日間の隔離も示唆されている(Cニュース 5/28)。これらの措置により、当然ながら撮影にかかる時間も費用も膨らむ見通しだ。マンダラン・フィルム会社は、一日につき1時間仕事が増え、費用は15%かさむと予測している(ピュア・メディア)。Cニュースも、費用の増加は約10~30%と見積もっており、「フランス国立映画センター(CNC)の支援で5000万ユーロの補償基金が6月1日から準備される」と報じている。