「捨てよう」はどこに? こんまりネットショップ、米メディアから思わぬ反発

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◆結局増やすの? こんまり流と矛盾
 近藤さんの片づけ術には、「ときめかないなら捨てる」という断捨離的、ミニマリスト的思想が取り入れられており、欧米で大人気となった。ところが今回のオンラインショップは、新たな商品を買って物を増やすことを奨励しているようでもある。これまで彼女を称賛していたメディアも、この点に疑問を呈している。

 明らかな矛盾ではないかと問うWSJに対し、買い過ぎを奨励しているのではないと近藤さんは反論する。自身のサイトでも、こんまり流の片づけはものを捨てることではなく、ときめきをくれるものの高さまで、自分の感受性を引き上げることだと説明している。整理整頓をした後には、意味ある物、人、経験を、自分の生活に受け入れる余地ができるということで、その際に商品を買ってもらいたいということらしい。

◆ときめかない物の数々 ウェブ誌大批判
 WSJの記事は遠回しな疑問を提示するものだったが、ウェブ誌『スレート』は、あからさまな批判を展開している。同誌は、オンラインショップの開店はクリスマスシーズンに合わせたものだと主張。いらない物を捨てよと説いた女性が、馬鹿げたものを生活に取り入れることに方向転換したと述べる。eコマースに興味が出たのか、自身のプラットフォームを手作り職人のために使う善意の試みなのか、それとも片づけ術は自分が売る物を買わせるためにいらないものを捨てさせる詐欺だったのか、と辛らつだ。

                                                                                                                 

 商品の評価も厳しい。22ドル(約2400円)の石鹸を買うのは破産はせずとも散財だし、木製の石鹸入れはすぐにシャワーにつるされた木の塊に変身すると批判。206ドル(約2万2500円)の革製ルームシューズも愛犬に食べられるまではときめくだろうとし、猫の顔がデザインされた子供用ポーチにいたってはときめく以前の問題だとしている。

 CNNの女性キャスターは、オンラインショップには若干の皮肉が含まれていると述べた。近藤さんの片づけ術のおかげでいらないものを減らすことができたが、その代わりに何かを売りつけようとしているとコメント。男性キャスターが「でも喜びをもたらすんだよ」と返すと、「ときめきよ」と訂正。指でお金を意味するしぐさをし、「彼女にとっての喜びね」と締めくくった。

 人気があればあるほど批判も出るのが世の常だが、近藤さんは必要以上に物を持たないことを説いて人気になっただけに、その哲学に消費を加えるという今回の試みは多くの人を驚かせている。一世を風靡したときめきビジネスは、大きな曲がり角に差しかかったのかもしれない。

Text by 山川 真智子