『ボヘミアン・ラプソディ』でオスカーのラミ・マレック、その素顔とは

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◆フレディと重なる自分 オスカースピーチに称賛
 実はフレディ役として最初に名前が上がっていたのは別の俳優で、いわば2番手としてラミに役が回ってきた。彼は引き受けるときの心境をある映画祭のスピーチで、「この演技で自分のキャリアが決まる。キャリアの終わりになることもある」「失敗すれば大変なことになる」と思ったと述べている(ピープル誌)。

 結局映画は大ヒットし、ラミはアラブ系としては初のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。受賞スピーチでは、「自分はフレディ役として当然の選択ではなかったかもしれないが、うまくいったと思う」と聴衆に語りかけ、大役を演じきった自信を見せた。

 スピーチのクライマックスではフレディを、「ひとつも悪びれることなく自分らしい人生を生きた、ゲイであり、移民である人」と呼び、受賞は、人々がこのようなストーリーを待ち望んでいることの証なのではないかと述べた。そして自分もエジプト移民の息子であり、ファーストジェネレーションのアメリカ人だとし、今ここで自分のストーリーの一部が書き記されていると述べ、喝采を浴びた。

『ボヘミアン・ラプソディ』の成功とオスカー受賞で、ラミは今後役を選びやすくなるだろう。彗星のごとく現れ、オスカーをさらった新しいスターの今後の活躍が大いに期待される。

Text by 山川 真智子