ジョン・ボン・ジョヴィのレストラン、困窮者に無料の食事 払える人が「Pay it Forward」

JStone / Shutterstock.com

◆客は皆平等、払える人は「次へ渡そう」 
 ジョンはソウル・キッチンをコミュニティのレストランと呼ぶ。同店のホームページによれば、予約は取らず、客は来た順に席に着く。メニューは、アメリカの地方料理で構成される3コースセットのみだ。スターターのスープかサラダ、メインコース、デザートが付いてくる。ほとんどの料理は、地元の新鮮な食材を使って作られているという。

 メニューには、料金は表示されていない。代わりに目安となる寄付額(現在20ドル)が伝えられる。食事をした後、自分の食べた分に加えて誰かのために支払う「pay it forward」で寄付をすれば、お金を払えない客をサポートすることができる。お金のない客は、自分や家族の食べた分を払う代わりに、店内でボランティアとして働く。人と人との信頼で成り立つシステムであり、食い逃げは想定していないとジョンはピープル誌に語っている。

 アメリカには貧しい人向けのスープキッチンという無料食堂があるが、ソウル・キッチンはまったく違う。ここでは、その人の経済力や経歴にかかわらず、客は皆平等に扱われ、見知らぬ人と隣り合って食事をする。隣席の人が支払う側か支払われる側かは問題ではなく、一緒に食事をし、語り合うことで、コミュニティを感じることができるのだそうだ(ピープル誌)。CNNは、一見こぎれいでトレンディに見えるこのレストランの食事には、「希望」という必要不可欠な材料が含まれているとしている。

                                                                                                                 

◆誰でも弱者になり得る 助け合う社会実現へ行動を
 JBJソウル・ファウンデーションが目指しているのは、直接行動することにより、貧困と戦うことだという。そのきっかけになったエピソードをジョンはCNNに語っている。

 ある冬の晩、寒さの厳しい米北東部、フィラデルフィアのホテルの窓から街を見下ろしていたジョンは、寒空の下で眠るホームレスの男性を見つけたという。このとき、年齢、人種、支持政党にかかわらず、これが今の社会では誰にでも起こり得る問題だと気づき、どうすればこの問題解決に、人々の協力を得ることができるのかと考え始めた。たどり着いたものの一つが、「pay it forward」モデルであり、レストランの成功は、個人のエンパワーメント(社会の一人一人が発展や改革に必要な力をつけること)によるものだったとしている。

 レストランの他にも、JBJソウル・ファウンデーションは、全米の10を超える州で、500件以上の手ごろな住宅を建設したという。元やんちゃなスーパースターは56歳の今、ボン・ジョヴィの名曲、「アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー」さながらに、弱者に寄り添う活動を続けている。

Text by 山川 真智子