『ゲーム・オブ・スローンズ』の町、大量の観光客に悩まされる 「世界遺産」も危機に

AP Photo / Darko Bandic

 この問題はドゥブロヴニクの評判を傷つけている。昨年、ユネスコは、観光客の急増によって、当地のユネスコ世界遺産という肩書が危機に瀕していると警告した。
 
 人気の高い旅行ブログサイトである『ディスカバラー』は、「この歴史ある町を訪れることはクロアチアで過ごす休日のハイライトだが、ありとあらゆる路地や通路に人が溢れかえっており、残念ながら質の高い旅行体験は望めない」と掲載した。

 同ブログは、ドゥブロヴニクが『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地であることから注目を浴び、クルーズ船が町に次々と到着することは非常に深刻な問題を引き起こしていると述べている。読者に対し、「ドゥブロヴニク行きのチケットを入手できた幸運な人の1人になろうとするよりも、マケドニア近郊の快適な町、オフリドを訪れてみると良い」と、近隣にある別の古風な町を代わりに訪問するよう助言している。

 2017年、地元自治体は、1日のいついかなる時でもクルーズ船で当地を訪れる観光客を常に最大4,000人に制限する「リスペクト・ザ・シティ」計画を発表した。しかし、この計画はまだ施行に至っていない。

 町の観光局長であるロマーナ・ヴラシック氏は「我々は観光客が多すぎることを認識している」と述べた。しかし、観光客の人数の制限を約束する一方で、ヴラシック氏はドゥブロヴニクを訪れる観光客の人数が今シーズンは順調に増えていることにとても満足していると述べた。

 今年の夏のワールドカップで、クロアチア代表サッカーチームが決勝進出を果たすという輝かしい成果をおさめたことも新たな観光客の増加に拍車をかける形となった。

 ヴラシック氏は、今年これまでに80万人の観光客がドゥブロヴニクを訪れ、昨年の同時期に比べて6%増加したと語った。そして、一泊して滞在する観光客は4%増加し、300万人に達した。

 クルーズ船は町の港湾使用料を支払っているが、地元の企業は観光客からほとんど金銭を得ていない。クルーズ船でやってくる観光客は、すべてが含まれたパッケージ旅行を利用しているため、地元のレストランや商店で金銭をほとんど使わない。

 城壁に囲まれたドゥブロヴニクに2箇所ある入り口の1つ、パイルでエレキギターを弾くクルノスラフ・ジュリシック氏は、旅行客の誰もが終日、自分のそばを通り過ぎていくのを見て、「マスツーリズムは我々に必要なものではないのかもしれない」と考えるようになった。

 クルーズ船から上陸してくる観光客たちは、ほんの数時間しか町には滞在しない。彼らは町の見どころを駆け足で巡り、ソーシャルメディアに投稿するために自撮りに励むことになる。

 ジュリシック氏は、「我々の町にやって来るのは単に走り回っている人たちだけだ。いったい彼らはどこを目指して走っているのだろう?」と苦々しげに語った。

By DUSAN STOJANOVIC , Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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