『ゲーム・オブ・スローンズ』の町、大量の観光客に悩まされる 「世界遺産」も危機に

AP Photo / Darko Bandic

 マーク・フォン・ブルメン氏は、子供の時から何十年もの間、アドリア海の宝石として広く賞賛されているクロアチアの要塞、歴史あるドゥブロヴニクの町に住んでいる。フォン・ブルメン氏によると、そのことはかつて同氏にとっては特権だったという。しかし、今やそれは悪夢となり果ててしまった。

 毎日、巨大なクルーズ船がやってきて何千人もの観光客が上陸するため、ユネスコ世界遺産であるこの城壁都市への入り口は大混雑となり塞がれてしまう。人気のテレビシリーズ、『ゲーム・オブ・スローンズ』の熱心なファンたちが番組のロケ地をあちこち探し回るため、中世の教会や宮殿が立ち並び、石灰岩で舗装された通りのストラドゥンで人々は互いにぶつかりあうこととなる。

 観光客が大勢、群れをなして殺到することが原因となり、特に小さな観光地ほど、その味わいや特色が失われてしまうというのは世界中で発生している現象だが、ドゥブロヴニクはマスツーリズムの悪影響を被った典型的な事例だ。観光客が増加の一途をたどっており、地元自治体は、観光客の大群によって町の魅力が損なわれるのを防止する方法を模索している。

                                                                                                                 

 フォン・ブルメン氏は、石の壁に隠された騒がしいオールド・ハーバーの町を自宅で見渡しながら、「この信じられないほどの騒々しさは、まるでディズニーランドの真ん中で暮らしているようなものだ」と語る。

 人口2,500人のこの町にクルーズ船が8隻ほど港にやってきて、それぞれの船から2,000人程度の観光客が市街に繰り出す、というのが典型的な1日の光景だ。フォン・ブルメン氏は1日に13隻ものクルーズ船が町にやってきたことがあったのを思い出すという。

「我々も惨めな思いだが、観光客たちもお気の毒だ。少し歩くだけで観光客が互いにぶつかりあう状態では、もはやこの町の良さを味わうことなんかできない。これはカオスだ。何もかも大混乱だ」とフォン・ブルメン氏は言った。

Text by AP

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