映画批評『クレイジー・リッチ!』 ハリウッドの公式を破った王道のラブコメ作品

This image released by Warner Bros. Entertainment shows Constance Wu in a scene from the film "Crazy Rich Asians." (Sanja Bucko/Warner Bros. Entertainment via AP)

 ケヴィン・クワンが2013年に発表したベストセラー小説を、豪華絢爛かつ愉快に映画化したジョン・M・チュウ監督の『クレイジー・リッチ!』。本作を盛り上げるのは、全編を通して並行するまばゆい2つのパレードだ。1つ目は、ロマンチック・コメディの特色とはいえ、『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショーや『フィフティ・シェイズ』シリーズのクリスチャン・グレイをも赤面させるほど過度に煌びやかで、デザイナー・ブランドづくしの、超がつく大金持ち(クレイジー・リッチ)の華やかな暮らし。もう1つのひと際目をひくパレードは、本作を彩るさまざまな国籍のアジア人キャストだ。ひとりひとりが自然な輝きを放っている。なぜ今までハリウッドは彼らを放っておいたのだろう。

 本作は映画ビジネスの公式を大胆かつ自由に崩しつつ、ロマンチック・コメディの定石を用いている。たわいもない笑いと深刻なテーマを織り交ぜつつ、誰もが気軽に楽しめるおとぎ話——大ヒット確実の甘いラブ・ストーリーが完成した。『クレイジー・リッチ!』は、『シンデレラ』のような数多あるプリンセスの物語とほぼ同じDNAを持っているが、その性質はがらりと変わっている。

『クレイジー・リッチ!』は、エイミ・タンの小説『ジョイ・ラック・クラブ』を1993年にウェイン・ワン監督で映画化して以来25年ぶりとなる、アジア人俳優とアジア系アメリカ人俳優をメインキャストに起用した現代が舞台の映画だ。なお、研究によると、昨年北米で大ヒットした映画の中で、アジア系の登場人物にセリフがある作品は5%以下だった。我々にとってマイナスだが、本作のような映画が実現することはまずなかった。

                                                                                                                 

 そのような映画界の歴史に当然ながら落胆したとしても、『クレイジー・リッチ!』は今後、重要な映画となるだろう。しかし、本作は100点満点ではない。従来のロマンチック・コメディと同様に、シンガポールの上流社会の華やかさに溺れ、物質主義と結婚を結びつける本作には、明らかに表層的な面がある(教会の結婚式のセットが蓮の池に変化したり、国際水域に停泊している貨物船の中で独身最後のバチェラー・パーティーをしたり)。そして、中国人と中国系アメリカ人の登場人物がメインの物語で南アジア人と東南アジア人が除外されているため、本作には盲点があると難癖をつける観客も当然いるだろう。

 ただし、『クレイジー・リッチ!』は、この25年の間に作られなかったすべての映画の穴埋めを一手に担っているわけではない。本作には観るものをハッピーにしてくれる、彗星の如く現れたスターが集結した。コンスタンス・ウーとヘンリー・ゴールディング率いるエネルギッシュなアンサンブル・キャストのおかげで、愛にあふれるチャーミングな娯楽作品となった。

Text by AP

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