クリンスマン氏が率いた米代表、何が起き、現地評価は? 日本とは相性良い?
◆監督解任 チームもW杯を逃す
2連敗したもののクリンスマン氏は、たった2試合を落としたに過ぎず、サッカーやチームを理解できない人が騒いでいるだけだと強気だった。しかし、W杯常連で出場が期待される国が、予選のファイナル・ラウンドで2試合を落とすということは、監督解任の危機だと当時ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が述べていた通り、多くのファンや関係者は憤っていた。肩入れしていたグラティ会長も同氏を守りきれないと判断。結局2年の契約を残し解任された。
この後、元監督のブルース・アリーナ氏が代表監督に就任したが、チームは最終戦で世界ランク99位のトリニダード・トバゴに敗れ、W杯出場を逃した。責任を取りアリーナ氏は辞職、グラティ会長も米サッカー連盟を去った。
◆いまや戦犯扱い 米メディアは批判的
クリンスマン氏は、自分が監督を続けていればアメリカはW杯に出場できただろうと語っており、あくまでも自分の否は認めていない。米代表監督を辞めた後、いくつかの代表チームからコンタクトがあったというが、W杯予選突破が目標のチームはお断りで、8強を目指すチームしか引き受けないと述べている(SI)。
クリンスマン氏が日本代表監督の有力候補に上がっていることに関しUSAトゥデイ紙は、その華麗な経歴から日本サッカー協会の求める条件に合ったようだがアメリカ代表監督としての末期はひどかった、と辛辣だ。
さらに別記事では、クリンスマン氏が今大会でドイツ代表が振るわなかった理由について、「自己満足して、ハングリーさが十分ではなかった」とコメントしたことを猛批判。莫大な報酬を受け取り、明るい未来を自信満々に予言したにもかかわらず、結果を出せなかった米代表監督時代の同氏こそ「自己満足」の塊だったとし、まさに「お前が言うな」の世界だと怒りを露わにしている。
◆アメリカには合わなかった 日本との相性は?
SIは、クリンスマン氏は話しやすいが断定的、おおらかだが妥協を嫌うと評する。また、チャーミングだが頑固でもあり、失敗を認めたり謝罪したりすることには消極的だと指摘し、こういった二重性がしばしば批判されると述べている。メンバーをいじり過ぎ、コミュニケーションに失敗することもあった反面、大局を見る考え方や選手のモチベーションを上げるスキルは高く評価されているとのことだ。
SIによれば、選手時代の忍耐力とプロとしての倫理は有名で、監督としては厳しいスケジュール、食事管理、フィットネスを選手に課し、本人自身もワークアウトを欠かさないという。また、時間に遅れずオンタイムという律儀な面もあり、日本人との相性は良さそうだ。アメリカでは厳しい評価を受けたクリンスマン氏だが、日本で監督就任となれば、ポジティブな結果を期待できるかもしれない。
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