遠隔操作の出前ロボット「COCO」がAIに頼らないワケ LAで導入進む

キャッチーでフレンドリーな名前を探していた創業者たちが、犬の名前リストから見つけたのが「ココ」|@COCO

 ロサンゼルスの歩道を走るピンク色の小さな宅配ロボット「COCO」は、人材不足で頭を抱えるLAの飲食や小売業界の救世主として注目されている。コロナ禍で、テクノロジーを利用したさまざまな形態のフードテックが登場し発展したが、学生スタートアップのCOCOは、「AI」による自走ロボではなく、「操作式」の導入で成功している。

◆ロボ研究を実践に移した学生スタートアップ
 カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)在学中から、COCOのCEOであるザック・ラッシュさんと共同創業者のブラッド・スクイッチャリーニさんは、「自律走行型ロボット」の研究を開始。その経験を活かした事業として、2020年に「COCO」を立ち上げた。彼らが事業計画を立てる際に重視したのは、地域の小規模事業者の役に立つこと。そしてより持続可能で信頼性が高く、費用対効果が高いという点だ。

 昨年ITジャーナリストのモリー・ウッドさんのポッドキャストに出演したラッシュさんは、「ロボットによる宅配というコンセプトには、時間と資本が大量に投入されてきたにもかかわらず、いまだに大規模なデリバリーロボットが普及していない状況を鑑み、まずはとにかく商業ベースに乗ったロボット宅配ができるインフラをすぐに投入するための準備を始めた」と話す。

 コロナ禍で人材不足が一層加速する飲食店や小売業界のニーズを捉えたこの動きにより、COCOは2021年にシリーズA資金調達を発表し、現在同社の資金調達総額は約5600万ドル(約81億円)に達する。

Text by 寺町 幸枝