「また会う日まで」ロシア撤退のマクドナルド、CEOが従業員にメッセージ

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 米マクドナルドは、30年以上続いたロシアでのビジネスを売却すると発表した。ウクライナ侵攻で営業を一時停止していたが、今後の見通しが立たなくなったため撤退を決めたという。アメリカのファストフードチェーンとして初めてソ連に進出した同社の店舗は、グローバリズムと冷戦の緊張緩和の象徴となり、多くのロシア人に愛されてきた。同社の撤退は、ロシアのさらなる孤立を意味すると見られる。

◆ロシア人の心をつかんだ自由の味 30余年の歴史に幕
 マクドナルドはソ連時代の1990年1月31日にモスクワに初の店舗をオープンした。ロシアでの1号店開業には14年間の交渉を要したという。ロシア人の賃金に比べればマクドナルドの商品は高価すぎるという問題もあったが、オープン初日は厳しい寒さにもかかわらず開店時間の10時前から500メートルの行列ができる盛況ぶりだった。ロシア人にとってマクドナルドは資本主義とアメリカ文化を意味し、近い将来起こるであろうソ連崩壊の現実的シンボルになったとビジネス・インサイダー誌は述べている。

 その後もマクドナルドはロシアで拡大を続け、約850店が営業していた。しかしウクライナ侵攻で3月初旬にロシア国内の店舗の一時閉鎖を決定。従業員6万2000人に給与を払い続けてきたが、店舗閉鎖による損失は月額5500万ドル(約71億円)になり、在庫においても1億ドル(約130億円)のロスが出ていた。(AP

Text by 山川 真智子