世界中どこでも働けるように エアビーが新リモートワーク方針、その意図とは
◆よりフレキシブルな旅のデザイン
チェスキーは、人々の住居や働き方がよりフレキシブルな方向に向かっていると確信しているようだ。2年間のパンデミック中、社員はリモートワークをしながら、もっとも生産性が高かったと彼はツイートしている。彼自身も、エアビーアンビーに滞在してリモートワークを行っている。また、パンデミック中、多くの人々がエアビーアンドビーを利用して、リモートワークを行い、それが自社の業績回復につながったとしている。新制度の導入は、社内向けだけでなく、社外に対するPRの意図もあるようだ。
エアビーアンドビー社の2022年第1四半期の決算報告によると、業績は順調な回復を見せている。宿および体験の予約件数は1億2100万件で、史上初の1億件超えを記録した。この数字は昨年同時期との比較では59%の増加。パンデミック以前の2019年との比較でも26%増加となり、数字は回復以上の成長を示している。また総予約額(Gross Booking Value)に関しては、昨年同時期比較で67%の伸び。予約単価がこの伸びを牽引している。売上は2019年との比較で80%増加。純損益は昨年の12億ドルの赤字から、1900万ドルの赤字にまで改善させた。また、予約内容に関しては、中長期滞在の予約がもっとも伸びているカテゴリーで、第1四半期の結果では、半数近くの予約が1週間以上の滞在、2割が1ヶ月以上の滞在予約だった。人々がよりフレキシブルなライフスタイルや働き方を志向している結果が、数字に表れていると同社は分析する。
昨年導入された「フレキシブル」機能は、こうした新たな人々の志向に対応し、成功している事例の一つだ。この機能では、旅行日程、宿とのマッチング、そして渡航先に関してフレキシブルを選択することで、ユーザーがより多くの選択肢を検索することができる機能だ。フレキシブルを利用した累計予約件数は20億件を超えたとチェスキーは説明する。さらに、今月11日には、このフレキシブルをさらに拡張し、検索カテゴリを進化させた新たなプロダクト機能を発表。ユーザーは、必ずしも具体的な渡航先が決まっていなくても、「キャンプ」「砂漠」「タイニー・ハウス」「デザイン」「サーフィン」のように、旅のアクティビティや宿泊先のタイプなどから旅を設計することができる。
また、もう一つの新しい機能として、1ヶ月以上の滞在を希望するユーザーに対して、2つの異なる滞在先に連続して滞在できるオプションを提示するスプリット・ステイズもリリース。たとえば、一つの地域において最初の2週間は一つの滞在先、そして残りの2週間は別の滞在先といった旅の計画が提案される。さらに、長期滞在、より自由な旅の実現をサポートするために、同社はユーザーに対する旅行保険制度エアカバー(AirCover)も導入。急なキャンセルやチェックイン時のトラブルなどに対応するしくみだ。
よりフレキシブルな旅とライフスタイルのために、進化を続けるエアビーアンドビー。CEOチェスキーをはじめ、自社のスタッフがよりフレキシブルな暮らしと働き方を実践することで、今後も、新たなニーズに即したプロダクト・デザインが実現されることが期待される。
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