なぜロシアから出ない? ネスレ、ウクライナから名指し批判

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 ロシアによるウクライナ侵攻で、多くの企業がロシアでの事業から手を引いた。しかしなかにはビジネスを継続する企業もあり、世論の批判を浴びている。とくにスイスに拠点を置く世界最大の食品会社ネスレは、ウクライナのゼレンスキー大統領や閣僚たちから名指しで批判されており、苦しい立場に追い込まれている。

◆ロシアを利するとウクライナが批判
 CNNによれば、ネスレはロシアでの活動を大幅に縮小し、輸出入をほぼ停止し、投資、商品の宣伝も行っていない。しかし同社が必要不可欠な製品と主張するベビーフード、シリアル、ペットフードなどの販売は引き続き行われている(CBS)。

 ゼレンスキー大統領は、スイスの首都ベルンで開かれた反戦集会に向けてライブストリーミング演説を行い、ロシアでビジネスを続けるネスレを槍玉に挙げた。ウクライナだけでなく欧州諸国にロシアの脅威が迫り、核による脅迫までされている現在、「グッドフード、グッドライフ」という世界共通のスローガンを掲げる同社がロシアから去ることを拒絶していると批判した。(CBS)

 実はゼレンスキー大統領の発言の前にも、ウクライナのシュミハリ首相が、ネスレのマーク・シュナイダーCEOを批判する内容をツイートしていた。同首相は「残念ながら彼(シュナイダー氏)は何も理解していない。テロ国家に税金を払うことは無防備な子供や母親を殺すことを意味する。早くネスレが考えを改めることを願う」と述べていた。

Text by 山川 真智子