「航続距離161km」を秘策でカバー マツダMX-30 EV、米誌レビュー

マツダ

◆航続レンジに課題 切り札はソフト面
 しかし、EVとして最も気になる指標のひとつである航続距離は、最大約161キロと若干心許ない数字だ。カー&ドライバー誌はデザイン性と走行性能を称えつつ、航続距離の問題や電気モーター特有の高トルクを引き出せていない点に課題が残ると指摘する。マツダは快調な走行音を表す「Zoom-Zoom(日本語の『ブーブー』に相当)」をキャッチコピーとしているが、「結果として、すぐにZoom-ZoomできなくなるSUV」になってしまったと同誌は惜しむ。

 マツダはこの短所を、当面はサービス面での施作で補おうとしているようだ。米ロード・ショー誌によると、充電インフラを提供する米チャージポイント社とタイアップし、500ドル(約5万7000円)相当の充電枠をMX-30 EV購入者に対して無償で付与する。自宅以外での充電に対し、抵抗感を和らげる効果が期待できそうだ。さらにユニークな枠組みとして、独自の「マツダ MX-30・エリート・アクセス・ローナー・プログラム」を展開する。MX-30 EVのオーナーであれば、ガソリンモデルなどほかのマツダ車を無償でレンタルすることができる制度だ。年間最大10日間という上限があるものの、バケーション中の長距離移動など、ここぞという場面で安心感を下支えしてくれることだろう。

◆米国に今年秋登場
 レイアウトは5人乗りの5ドアSUVとなる。アメリカではマイルド・ハイブリッド車の設定はなく、最大出力145psの電動モーター1基と1速ATで駆動する。航続距離は前述の通り100マイル(約161キロ)となっているが、モーター・トレンド誌は、マツダは平均的なユーザーの移動距離である1日30マイルを満たすように設計したと紹介している。遠出を他車種レンタルのしくみで補う限り、理論的には十分なレンジとなるはずだ。

 生産台数は560台のみとなっており、充電インフラの整備でリードするカリフォルニア州のみで販売される。ベース価格は3万4645ドル(約396万円)からの設定で、今秋米国に登場する予定だ。

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Text by 青葉やまと