NYの3つ星レストラン、ヴィーガンメニューのみに その理由とは

Pablo Monteagudo / flickr

 ニューヨークの有名レストラン「イレブンマディソンパーク」がメニューをすべてヴィーガンに変更し、レストランを再オープンすることを発表した。イレブンマディソンパークは、2012年以来ミシュラン3つ星を獲得しており、2016年には「世界のベストレストラン50」の3位にランクインし、2017年には1位に選ばれた。食事やサービスのレベルはトップクラスにあり、珍しい材料を使った料理や、ユニークで独創性のある調理・提供方法など、エンターテインメント性の高さも話題であった。

 このイレブンマディソンパークは、パンデミックにより昨年3月からレストランを閉めていたが、6月10日に再オープンが決定。またヴィーガンメニューで再開すると発表した。過去20年間マンハッタンで最も賞賛され、子豚の丸焼き、ウニ、ラベンダー釉薬の鴨料理などの高い調理技術で知られているアメリカンレストランにとって、肉や魚など動物由来の食材を一切使用しないヴィーガンメニューで再開することは新たな出発点になる。マンハッタン市内で完全に肉を使わないメニューを提供している高級レストランはほかになく、ミシュランの3つ星を獲得した世界中の132のレストランでも、ヴィーガンレストランは存在しない。

◆持続可能ではない食システム
 ここ最近、環境や社会的理由による肉・魚ベースの食事への懸念から、プラントベースの食事への意識が高まってきている。これは新型コロナ感染症のパンデミックによって世界の食システムの弱点が露わになり、アメリカの生活の不平性が明らかになったためだ。さまざまな企業や機関による研究結果からもわかるように、環境問題の原因の一つは、私たちの食生活、とくに肉の摂取にある。家畜を育てるため二酸化炭素を吸収する森林が伐採され、家畜の糞尿やゲップにより温室効果ガスであるメタンが排出される。また飼育には大量の資源が必要となり、さらに、農業機械、肥料製造、食料の輸送には大量の化石燃料が使用される。

Text by sayaka ishida