「見事、過去最高のトヨタ車」GRヤリス、海外から高評価

トヨタ自動車

 2020年9月にデビューしたトヨタのホットハッチ「GRヤリス」に、海外から高評価が相次いでいる。イギリスの自動車番組が「これまででベストなトヨタ車」、アメリカの自動車専門誌が「2020年のベストな車の一つ」と述べるなど、期待を超えた性能が評論家たちを唸らせている。

◆久方ぶりの「ホモロゲーション・モデル」
 英BBCの自動車番組『トップ・ギア』(11月12日)は、「トヨタ GRヤリスは見事。我々がこれまで乗ったトヨタのなかでベスト」との記事を掲載し、総合評価として満点の10点を与えている。GRヤリスに注目が集まる大きな理由として、本モデルがラリー用に開発された久方ぶりのホモロゲーション・モデルであることが挙げられる。

 ホモロゲーション・モデルとは、レース出走車のスペックを底上げする目的で開発される、特別な市販車のことだ。世界ラリー選手権(WRC)のトップ・カテゴリーに出走登録するためには、車種全体で2万5000台以上を生産した市販モデルがベースになっていることが条件となる。そこで、通常の市販モデルよりも性能の高い車両を一般向けにも販売し、そのモデルをベースモデルとして扱うことでレース出走車のレベルを高めようという戦略が生まれた。

 先述のトップ・ギアによる記事は、近年は同じプラットフォームで小手先の形状を変えた車が多かったと嘆いたうえで、本格レース志向の本モデルを「これがトヨタの反撃だ。そして見事だ」と評価する。モダンな街路にもふさわしい軽量のラリーカーであり、その力強いダイナミクスと大胆に唸るモーターが「強烈に心を掴んで離さないマシン」にしていると論じている。

 米自動車専門誌の『ロード&トラック』(12月14日)は、「このトヨタ GRヤリスは、2020年最高のクルマの一つだ」と見出しを打ち、こちらも久々の本格的なホモロゲーション・モデルであることを歓迎している。このところラリー出場の各チームは、ごく一般的な既存車をベースにしてレースに出走してきた。それだけに、GRヤリスの印象は鮮烈だ。通常モデルのヤリスから、ホイールベース、ルーフフィン、ドアミラーなどの特徴を受け継ぎつつ、プラットフォームは前後でヤリスとカローラのものを組み合わせるなど、大胆な設計を施している。

 もちろんプロ・ドライバーだけでなく、一般のオーナーにも親しみやすいモデルとなっている。英オート・カー誌は、レスポンスの良さと運転のこなしやすさに加え、信頼のおけるトラクションがしっかりと生じているとの評価を送っている。

Text by 青葉やまと