コロナ禍で重要性増すBCP 現状と課題

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 国際的にいま、新型コロナ禍という最大のリスクのなかにある。普段私はBCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)が専門分野であるので、企業などで講師を務めていて実感することがある。我が国でBCPを策定している大企業は概ね8割を超えている。その一方で、中小企業や個人事業主のそれは2~3割程度である。しかも、中小企業ではBCP策定推進が中小企業庁など関係機関からも要請されていながら、なかなか進まない。正確には進められない環境がそこにあるからだろう。大企業と異なり外部からの指導者を呼ぶ資金的な余裕はない。またBCPには定期的なアップデートと訓練が必要だが、それも困難になってくる。今回の新型コロナでは、危機管理体制の弱い企業から倒産などになっている。また、危機管理体制に感染症対策として、経営者や従業員の健康対策などを盛り込んでいる企業は大企業でもまだ数少ない。

◆企業のリスクについて
 企業が考えるリスクには大きく分けて3つあると思う。「災害・事故」「経営」「経済や社会」の各部門に起因する。製品やサービスへのクレーム、海外拠点におけるテロなどリスクは多様化の一途をたどっている。こうしたなか、例として風評被害、個人情報に関する課題、ブランドイメージの堅持、コンプライアンスに関わる課題、リスクマネージメントそのものへの要請などが企業には求められるようになった。

 我が国で必要な企業危機管理の基本体制を考慮すれば、まず普段の対策としてBCPの策定の基本として、リスクの洗い出しと、評価・選別をする。その上で優先順位をつける。次いで各危機管理における主要な担当を決め、被害想定や復旧レベルの設定、業務の標準化、マニュアルの設定と訓練に、定期的な専門家を招聘して講義や研修で充実を図る必要がある。事前の訓練を行い、実際にBCPなどを利用する事態、すなわち緊急事態には実践する必要がある。

 ここで重要なのは、まず企業トップのリーダーシップである。いざリスクにあったときに損害は計り知れず、こうした事前の対策に資金を投入できるかは企業トップの裁断が大きく左右する。そして危機管理でどの部門が担当するかといった役割分担と責任の所在を、明確にすることは重要である。とくに、特定の部門を危機管理担当と定めてしまうと、往々にしてほかの部門が危機管理に対して無関心となり、体制構築を進める上での大きな障害となる。とくに規模が大きく、社内の分業が進んでいるような企業であれば、できるだけ社内のさまざまな部門を危機管理体制構築に参画すべきである。

 平常時のリスク監視や危機発生時の対応における全社的ルールや計画を定めたら、その内容を広く従業員に理解させるため、マニュアルを作成し配布する。また各自に浸透させるため、有効な手段は訓練と、意識高揚に必要な外部からの講師による研修である。その上で、外部からの講師などからのチェックも欠かさず行う必要がある。というのも常に環境は変化している。こうした状況に常に配慮した危機管理体制の修正・アップデートには外部からの人材や機関を活用すべきである。

Text by 古本尚樹

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