「行先のないクルーズ」も登場 コロナ下で試行する旅客運送業

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 パンデミック以来、世界の人の移動はぐんと落ち込んだ。未曾有の経営危機に直面し、旅客運送業者には、「行先のないフライト」など試験的企画の工夫を凝らす例が増えている。

◆行先のないクルーズ
 「行先のないフライト」の思いのほかの人気には、何匹目かのドジョウを狙う航空会社が続いている。たとえば、韓国のアシアナ航空は、韓国上空を時計回りに一周する約2時間の「行先のないフライト」を10月末に企画。『エア・ジャーナル』(9/25)によると、ソーシャルディスタンスを守るため、エアバスA380の500席近くある旅客席のうち用いるのは310座席のみの運航。機内ではすべての乗客に食事が提供され、トラベルポーチが配布される。特典として、次回利用時に使える50%引きのクーポンとマイルも受け取れる。値段はエコノミークラスの20万5000ウォン(約1万9000円)からビジネスクラスは30万5000ウォン(約2万8000円)だという。

 さらに、「行先のない」移動は、航空界以外にも広がっている。CNBC(10/9)によると、10月第2週、シンガポールが「どこにも寄港しないシンガポール発着クルーズの試験的計画」を発表した。ドリーム・クルーズ社のゴー社長によれば、「その発表以来、電話が鳴りやまない。オンラインの問い合わせも同様」の反響だという(同)。この計画に参加するには、感染対策の諸条件をクリアする必要がある。たとえば、クルーズ会社は安全証明書を取得せねばならず、航海許可の前に監査を受ける必要があるし、乗客数は通常の50%までで、シンガポールの住民に限られる。クルーズ船には、ウォータースライド、ロッククライミングウォール、ミュージックホールなど多種多様なエンターテインメント設備が備わっているため、「クルーズ船自体が目的地」になりうるというのが、ゴー社長の考えだ。

Text by 冠ゆき

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