航空界の活路?「行先のないフライト」が人気 豪では10分で完売

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◆カンタス史上最速で売り切れたフライト
「行先のないフライト」ブームは、オセアニアにも広がっている。オーストラリアのカンタス航空が企画したのは、アウトバックからグレイトバリアリーフまでカバーする7時間の遊覧飛行だ(ロイター、9/17)。約5万8000円~28万1000円と値段に幅のある134席だったが、なんと発売からたった10分で完売した。同社によれば、「おそらくカンタスの歴史のなかで最も速く売り切れたフライト」(同)だという。カンタス航空広報は、需要があるなら、今後も遊覧飛行を実施するつもりがあると述べている。

 それにしても、面白いのは、カンタス航空の財務部長がロイターに語ったように、「明らかに人々は飛行体験を恋しく思っている」という事実だ。本来、飛行機移動は目的地にたどり着くための手段のひとつに過ぎない。正直なところ個人的には、省けるものなら省いてしまいたい行程だ。だが、「行先のないフライト」の人気をみると、実は多くの人々にとって、空路はすでに旅の一部だということがわかる。

 パンデミックの世において、「行先のないフライト」は、航空業界の活路となりえるのだろうか。また、環境問題との折り合いは、どのあたりでつけるべきなのだろうか。アジア、オセアニア以外での展開も気になるところだ。

Text by 冠ゆき