観光業救済に週休3日制、NZ首相が提案 コロナ後の新しい働き方として世界が注目

Mark Baker / AP Photo

♦︎打撃の観光業を救済
 アーダーン首相の発案のねらいは、主要産業の一つである観光業の救済だ。国境の閉鎖は徐々に解除されてゆく見通しだが、少なくとも当面の間は厳しい入国規制が続行することから、国際線の旅行者は見込めそうにない。そこで頼りになるのが国内から訪れる観光客というわけだ。ニュージーランド国内で3連休を確保すれば、それだけ小旅行の需要を喚起することができる。ワシントン・ポスト紙はアーダーン首相の発言として、「国内観光需要を刺激するためのクリエイティブな方法を模索している」とのコメントを引用している。

 休暇増によって経済を救済する彼女の案は、早くも北米で注目を集めた。カナダのナショナル・ポスト紙もニュージーランドの政策を紹介している。カナダにおいても観光業の縮小は深刻で、国内旅行者の支出額は2019年比で3割から6割ほど減少する見通しだ。観光業は最も早く打撃を受け、なおかつ回復に最も時間を要する産業と見られており、この分野を再び活性化する効果が期待される。

♦︎メンタルヘルス、女性の社会進出……数々のメリット
 週休3日制の恩恵を受けるのは観光産業の従事者だけではない。ナショナル・ポスト紙はカナダのウエスタン大学のビジネススクール名誉教授の見解として、「ホワイトカラーには完璧」「誰もが大変気にいるだろう」との評価を伝えている。北米ではストレスによって年間30〜60億カナダドル(約2400〜4700億円)の損失が発生しているとの試算もあり、メンタルヘルス向上が急務だ。ただし休暇増は、ブルーカラーには機能しない可能性があるという。仮に休暇増で平日の労働時間が延びる事態となれば、むしろ怪我のリスクが増えることになる。週休3日制は人口の3割か4割程度に対してうまく機能するだろうと同氏は見積もっている。

 とはいえ、労働のあり方を再考すべきだとの主張はこれまでにも声高に叫ばれてきた。コロナを機に改革に乗り出すのも一考だ。ワシントン・ポスト紙はオーバーワーク対策になるほか、女性の地位向上のきっかけになると論じている。ロックダウン中は子供の在宅時間が増えたことで、母親の負担が増加したとの報告が各所で上がっていた。しかし週休3日制が広く浸透すれば、男女がより均等に家庭に時間を割くことができるようになり、女性の職場進出が促進されるとする見解も出ている。

 ガーディアン紙も、生産性やメンタルヘルスの向上など、労働者にとっての多様な利点を挙げる。観光業の救済を主眼にアーダーン首相が掲げる週休3日制だが、多くのオフィスワーカーにとってメリットが生まれそうだ。

Text by 青葉やまと

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