アメックス、驚きの方針転換の理由は? 身を切り加盟店を積極獲得

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◆ライバルに並べ 現金じゃぶじゃぶで誘惑
 ところがアメックスは昨年、その手数料を引き下げた。モトリー・フールは、競合するビザ、マスターカード、ディスカバーの手数料が1.5~2.5%であるのに対し、アメックスは2.5~3.5%になっていると見ている。しかし新規に契約した小売店には、ビザやマスターと同等の手数料を約束したり、半年間手数料を無料にしたりしているという。さらに、1万ドル(約109万円)~45万ドル(約4900万円)の契約インセンティブを、技術面およびマーケティング面でのコストを相殺するという名目で、一部の新規加盟店に支払っている(WSJ)。

 アメックスが加盟店拡大を急ぐ理由についてWSJは、ビザやマスターのネットワークに入った大手銀行が無料航空券やホテル滞在などの大盤振る舞いともいえる特典つきカードを発行し始めたため、と述べる。カードでたくさん買い物をしてくれるアメリカ人が銀行系カードに乗り換えているのだ。

 投資家の不満もあるという。CNBCによれば、過去5年間で、アメックスの株価は32%上昇。マスターカードの230%、ビザの190%に比べかなり劣る。ビザの市場価値は3860億ドル(約41.7兆円)、マスターカードは2790億ドル(約30.1兆円)で、株価は過去8年間プラスで引けており、ウォール街で最も愛される銘柄の一部となっている。対照的に、アメックスの時価総額は980億ドル(約10.6兆円)で、この10年間には年間パフォーマンスが2桁のマイナスになる年もあった。

 2016年のインベスター・デイ(投資家や投資を希望する人のためのイベント)で、他社とのギャップを今年末までに埋めるとアメックスは宣言している。加盟店が増えれば請求額も増え、使えないというイメージも改善でき、ビジネス規模も拡大し、より利用者の要望に応えることができるということだ(WSJ)。

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Text by 山川 真智子

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