岐路に立つ老舗ティファニー 顧客の世代交代、米中対立、香港デモ

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◆大キャンペーンの効果上がらず 新戦略は失敗
 ティファニーは2018年のクリスマスシーズンに若い層に向けて新たなコレクションを発表した。有名女優やヒット曲を使って世代のギャップを埋めるべく大ビデオキャンペーンを展開したが、十分なセールスを上げることができなかった。商品のデザインは良かったが、古い顧客層向けと同じ価格帯で勝負したことが失敗だったという。結局、ティファニーのセールスの半分近くを占める、米州(南北アメリカ全体)での第4四半期の売上高は横ばいだった。

 今年の業績を見ても、第2四半期のコレクションのセールスは横ばいで、消費者が店舗に足を運ぶ頻度、オンラインでのトラフィックも減少しているという。Motley Foolは、現在のマーケティング戦略と品揃えの効果はまだ出ておらず、しばらくティファニー株購入は控えたほうがよいとしている。

◆海外から国内へ、中国人の消費に変化
 近年多くの高級ブランドのセールスは、中国人旅行者に支えられてきた。ティファニーの場合もそうで、100万ドルを超すダイヤのネックレスなども、裕福な中国人客がニューヨークやパリで購入していたとボグリオロCEOは話している。しかし、米中貿易戦争がもたらした元安でその購買力も落ちてきた。とくに、世界の高級品の売上の10%を占めるとされる香港では、抗議デモの影響で、中国本土からの観光客の消費が落ち込んでおり、高級ブランドは軒並み影響を受けている(ロイター)。

 客がこないならいる場所へということで、ティファニーは積極的に中国本土に出店し始めている。米コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーによれば、2025年までに中国人による高級品購入の半分が、中国国内でのものになると予測されている。中国の輸入関税が引き下げられ、国内と海外の価格差が縮まったことが影響しているという。ティファニーは、中国本土に35店舗を構え、北京の新国際空港に加え、北京や上海に旗艦店を開店予定だ。また、ニューヨークの5番街の旗艦店にあるブルー・ボックス・カフェも上海に作られるという。ボグリオロCEOは、急速に発展する中国市場には大きな期待をしており、投資もたくさんしていきたいと意気込みを語っている(AFP)。

Text by 山川 真智子