「抱擁セラピー」が欧米でジワリと人気 1時間8000円で安心感

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◆夫が了承して、抱擁セラピーに通う妻
 抱擁セラピーを利用するのは、Elisaさんが言うような親密な関係の人がいない人だけではなく、既婚者もいる。アメリカのSaskia Larsenさんは、仕事の関係でご主人に月に数日しか会えないことから、セラピーに月2回通っている。Saskiaさんはニューヨーク、警官の夫はそこから少し離れた場所に住み、遠距離結婚している(英ミラー紙)。

 Saskiaさんは「抱き合っていると、自分の体がリラックスしているのがわかって、とても安心できる。自分とセラピストの呼吸を感じることができる。もしセラピーがなかったら、人肌にふれることがほとんどなくて、すごく孤独を感じると思う」と語っている。セラピーのおかげで妻が安心感を持って日常生活を送っていられるので、夫は嫉妬などしないそうだ。

◆需要は増すか?
 人肌が恋しいという言葉があるが、「寂しい」「孤独」というのは現代社会のキーワードともいえるだろう。日本では、単身・少人数世帯が増えて「孤食」の比率が上昇したり、いびつな孤独の形態「ごみマンション」が増えたり、孤立死もよく耳にするようになった。

 お金を払うというのはハードルかもしれないが、寂しさや、悩みを抱える人たちのなかで、抱擁セラピーによって心身の健康を保てるようになる可能性のある人は、欧米にも日本にも案外多いのかもしれない。

Text by 岩澤 里美